【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(4日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる4日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

プーチン大統領「ロシア国民はこれまで以上に団結している」

ロシアのプーチン大統領は4日、上海協力機構の首脳会議にオンラインで参加して演説し、ロシアの民間軍事会社ワグネルの代表、プリゴジン氏が起こした武装反乱についても触れました。

この中で「ロシア国民はこれまで以上に団結している。武装反乱の試みに、ロシアの政界と社会全体が共同戦線を張り、結束と高い責任を示した」と指摘し、みずからの政権のもとでロシアが結束していると強調しました。

そのうえで「ロシアの指導部の行動に支持を表明してくれた上海協力機構の各国に感謝する」と述べ、各国から支持が得られているとアピールするねらいがあるとみられます。

また、プーチン大統領は「われわれに対してハイブリッド戦争が仕掛けられ、不当で前例のない規模の制裁が科されている。ロシアは外部からの圧力と制裁、挑発に対して、自信を持って対応していく」と訴えました。

そしてロシアと友好関係にあるイランの正式加盟が承認されたことを歓迎するとともに、同盟関係にあるベラルーシの加盟に向けた動きについても「上海協力機構の活動に前向きの影響を与えると確信している」と述べ、欧米への対抗軸としてこの枠組みを拡大させることに意欲を示しました。

英国防省「ロシア軍の作戦 一定の成功収めている」

領土奪還を目指すウクライナ軍の反転攻勢について、イギリス国防省は4日の分析で「ここ数週間のロシア軍の戦術は、南部でウクライナ軍の装甲部隊の進軍を遅らせることを優先してきた。対戦車地雷を非常に多く使い、進軍を遅らせた後、無人機や攻撃用ヘリコプターなどでウクライナの装甲車を破壊している」と指摘しました。

そして「反転攻勢の初期段階でロシア軍の作戦は一定の成功を収めている。しかし、ロシア軍は依然として弾薬不足などに悩まされている」と分析しています。

モスクワで複数の無人機 航空機の運航を制限

ロシアの国営通信社によりますと首都モスクワの南西部や西部郊外に複数の無人機が飛来し当局が無人機を撃墜したということです。

これについて、ロシア国防省は日本時間の4日午後2時半ごろあわせて5機の無人機がモスクワなどに飛来したと発表したうえで「ウクライナの政権がけさ無人機によるテロ攻撃をしかけたが撃墜し、失敗した。死傷者や被害はなかった」と発表し、ウクライナ軍によるテロ攻撃だと主張しました。

モスクワのソビャーニン市長は、これまでのところけが人などはないと発表し、当局によりますと無人機が撃墜された地域の近くにあるモスクワ南西部のブヌコボ空港では一時、航空機の運航を制限したということです。

モスクワではことし5月30日にも複数の無人機が飛来し、市内の集合住宅で被害が出るなどしていて、ロシア側は警戒を強めています。

ロシア中央選管委員長“併合4州の選挙延期の可能性も”

ロシア大統領府によりますとプーチン大統領は3日、中央選挙管理委員会のパムフィロワ委員長と会談しました。この中でことし9月にロシアの各地で予定している統一地方選挙についてパムフィロワ委員長はロシアが去年9月、一方的な併合に踏み切ったウクライナ東部や南部4州でも実施するための準備を進めていると強調しました。

一方で「不測の事態が発生し状況が悪化して、住民の命や健康に重大な危険が及ぶと判断された場合、私たちは選挙を延期する権利がある」とした上で「深刻な理由があれば必ずこの権利を行使する」と述べ、4州での選挙を延期する可能性もあるとの考えを示しました。これに対してプーチン大統領は「分かった」と応じるにとどめました。

ロシアとしては、4州でも選挙を実施しロシアによる支配の既成事実化をいっそう進めたいものとみられますが、ウクライナによる反転攻勢が続くなか計画通りに実施できない状況になっている可能性もあるとみられます。

プリゴジン氏の新たな音声公開 ロシア独立系メディア

ロシアの独立系メディアは3日、ロシア国内で武装反乱を起こし南部ロストフ州から撤収したあと公の場に姿を現していない民間軍事会社の代表、プリゴジン氏の新たな音声メッセージの内容を公開しました。

それによりますとプリゴジン氏は「近い将来、前線でのわれわれの次の勝利を見ることになるだろう」と述べ、今後も、ウクライナ侵攻に関与していく考えを示唆しました。

今回のメッセージは先月26日以来とみられますが、いつどこで録音されたものかは明らかになっておらず、引き続きプリゴジン氏の動向に関心が集まっています。

こうした中、別の独立系メディアはSNSで隣国ベラルーシにワグネルの戦闘員のためとみられるキャンプが建設され、すでに一部の部隊が移動し、戦車などを使った演習を開始していると伝えています。

ゼレンスキー大統領“クリミアのないウクライナ考えられず”

ウクライナのゼレンスキー大統領は、3日に放送されたアメリカのCNNテレビのインタビューで、ロシアが9年前、一方的に併合したウクライナ南部のクリミアについて「クリミアのないウクライナは考えられない。ロシアの占領が続くかぎり、戦争は終わっていないことを意味する」と述べ、奪還するまで攻勢を続ける姿勢を示しました。

また、ロシアの民間軍事会社ワグネルの代表、プリゴジン氏による武装反乱が起きたことについて、ゼレンスキー大統領は、ロシアのプーチン大統領がワグネルの進軍を防げず、一部の地域の治安状況を制御できていないと指摘し、プーチン大統領の対応が「弱々しかった」と述べました。そして「プーチン大統領が持っていたかつての権力構造が崩れつつある」という見方を示しました。