“日本と北朝鮮の実務者 複数回 水面下で接触” 韓国有力紙

韓国の有力紙は、日本と北朝鮮の実務者が先月、中国など第三国で複数回にわたって接触したと報じました。
岸田総理大臣が拉致問題の解決に向けて日朝首脳会談の早期実現のため、ハイレベル協議を始めたいという考えを示している中、韓国では日朝間の動きに関心が集まっています。

3日付けの韓国の有力紙、東亜日報は1面で、複数の消息筋の話として、日本と北朝鮮の実務者が先月、中国やシンガポールなど第三国で複数回にわたって水面下の接触を行ったと報じました。

接触では北朝鮮による日本人の拉致問題や高官級会談の開催などについて話し合われたものの、見解の違いは埋まらなかったとしています。

また、日本側はアメリカに対し、北朝鮮との接触について事前に伝えていたとしています。

日朝関係をめぐっては、岸田総理大臣がことし5月、拉致被害者の帰国に向けて日朝首脳会談を早期に実現させるため、みずからが直轄するハイレベル協議を始めたいという考えを示しました。

これに対し北朝鮮の外務次官は「拉致問題は解決済みだ」とする従来の立場を改めて強調したうえで「日本が新たな決断をして、関係改善を模索しようとするなら、会えない理由はない」とする談話を出していました。

東亜日報は北朝鮮側には接触を通じて日米韓3か国の連携を揺さぶるねらいがあったのではないかという見方を伝えていて、韓国では日朝間の動きに関心が集まっています。

松野官房長官「報道は承知も事実はない」

松野官房長官は、午後の記者会見で「報道は承知しているが、そのような事実はない」と述べ、否定しました。

そのうえで「日朝ピョンヤン宣言に基づき、拉致・核・ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して国交正常化の実現を目指す。とりわけ拉致問題は、ひとときもゆるがせにできない人権問題であり、すべての拉致被害者の一日も早い帰国を実現すべく全力で果断に取り組んでいく」と述べました。

また、記者団が「今回の報道に限らず日朝間の接触はあるのか」と質問したのに対し、「北朝鮮への働きかけに関する具体的な内容は、今後の交渉に影響を及ぼす恐れがあるため、明らかにすることは差し控えたい」と述べました。