【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(3日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる3日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

“武装反乱時プーチン大統領はヨットに”米NYタイムズ

ロシアの民間軍事会社ワグネルの代表、プリゴジン氏による武装反乱が起きていた先月24日、プーチン大統領は、ロシア第2の都市サンクトペテルブルクで友人のヨットに乗っていたとアメリカの有力紙ニューヨーク・タイムズが伝えました。

この記事はプーチン政権に批判的なロシアの独立系メディア「ドーシチ」の元編集長、ズイガリ氏が政権に近い関係者の話をもとに寄稿したものです。それによりますとプーチン大統領は保守系財閥のコワルチュク氏のヨットに乗り、サンクトペテルブルクのネバ川で行われた赤い帆船と光の祭典を観覧していたということです。

ズイガリ氏は「プーチン氏の側近に近い関係者の意見ではこれはプーチン氏が現実を把握できていないことを示す最も明白な証拠だ」とし、今回の反乱を受けて「プーチン氏は弱く、コントロールがきかないという最悪の姿を見せてしまった」としてプーチン大統領にとって大きなダメージとなり権威を弱めたと分析しています。

これに対してロシア大統領府のペスコフ報道官は24日当日、「大統領はモスクワのクレムリンで執務を行っている」と強調していました。

ロシア国防相 “軍の兵士が任務に忠実で武装反乱失敗に”

ロシアのショイグ国防相は3日、国防省で会議を開き、このなかで民間軍事会社ワグネルの代表、プリゴジン氏の武装反乱について「6月23日から25日にかけてロシアを不安定化させようとした試みがあった。この計画は、軍の兵士が任務に忠実であったため失敗に終わった。挑発行為はロシア軍の部隊の行動に影響を与えず、兵士は与えられた任務を遂行した」と述べました。

武装反乱をめぐり軍内部の混乱まで伝えられる中、ショイグ国防相としては軍の統率やウクライナへの軍事侵攻に影響はなかったと強調するねらいがあるとみられます。一方、プリゴジン氏と関係が近いとされ、反乱の計画を事前に把握していたとも伝えられているロシア軍の最高幹部の1人、スロビキン氏の消息に関心が集まっていますが、ショイグ国防相は公開された会議のなかでは言及していません。

ウクライナ国防省 マリャル次官「1週間で約28平方kmを奪還」

ウクライナ国防省のマリャル次官は3日、SNSでウクライナ東部では先週ロシア軍の砲撃の数が倍増したと明らかにし、バフムトなどで激しい戦闘が続いていると発表しました。

また、南部ザポリージャ州の主要都市メリトポリや、アゾフ海に面した港湾都市ベルジャンシクに向かう方面で作戦を続け、1週間でおよそ28平方キロメートルを奪還したと成果を強調しました。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は2日、ウクライナ軍は東部や南部の6つの前線で反撃作戦を実施し、一部で前進に成功したと分析しました。

ロシア大統領府 ベラルーシとの結束強調 欧米へのけん制強化へ

ロシア大統領府は3日、同盟関係にある隣国ベラルーシの独立記念日にあわせ、プーチン大統領がルカシェンコ大統領にメッセージを送ったと発表し「深刻な外部からの脅威や課題に直面する中、われわれの同盟関係が強固な基盤となっている」と結束を強調しました。

プーチン大統領は今月上旬にベラルーシ国内に戦術核兵器を保管する施設が完成する見通しも示していて、東ヨーロッパやバルト三国に近いベラルーシに核兵器の配備を進め、欧米へのけん制を強める構えです。

バフムトをめぐり再び攻防が激化か

ウクライナ国防省のマリャル次官は2日、SNSでロシア側は東部ドネツク州のアウディーイウカやマリインカなどで進軍し、激しい戦闘が続いていると投稿しました。

そして、バフムト周辺ではウクライナ軍が南側で前進し、部分的に成功していると強調しましたが、バフムトの北側では、ロシア側が部隊を移動させ戦闘が続いているということです。

バフムトをめぐってはロシアの民間軍事会社ワグネルなどロシア側がことし5月に完全に掌握したと主張しましたが、ウクライナ軍の反転攻勢で再び攻防が激しくなっているとみられます。

ゼレンスキー大統領「一時的に支配されたすべてを取り戻せる」

こうした中、ゼレンスキー大統領は2日、海軍の記念日にあわせて南部オデーサ州を訪問し、海軍の司令官から黒海での作戦状況やロシア軍の海上からのミサイル攻撃能力などについて報告を受けたということです。

その後、ゼレンスキー大統領は演説し「ロシアに一時的に支配されたすべてを取り戻せると確信している」と強調しました。

“ワグネルの多くの戦闘員 国防省の傘下に”

一方、ロシアで武装反乱を起こしたワグネルについて、ロシア議会のボロジン下院議長は2日、SNSで、国防省が戦闘員に対し7月1日までに契約を結ぶよう迫っていたことを念頭に「私の知るかぎり多くが同意した」と投稿し、多くの戦闘員が国防省の傘下に入ることになるとの見方を示しました。

ワグネルの戦闘員をめぐってはロシアと同盟関係にある隣国ベラルーシのルカシェンコ大統領が国内に戦闘員のための宿営地を提供する考えも示していて、その動向に関心が集まっています。

ワグネルが戦闘員の募集を一時的に停止

ロシアの複数の独立系メディアは2日、ロシア国内で武装反乱を起こした民間軍事会社ワグネルが、戦闘員の募集を一時的に停止したと伝えました。

それによりますとワグネルはSNSで「ウクライナでの特別軍事作戦に一時的に参加していないことやベラルーシへ移転することを受けて戦闘員を募集する拠点の業務を1か月間停止する」と発表したということです。

一部のメディアによりますとワグネルは6月30日の時点でロシア国内の21か所に戦闘員の募集のための拠点を設けていたということで、首都モスクワ市内では広告も設置していました。

ロシアで「国際航空ショー」が中止

ロシアの国営通信社は6月30日、首都モスクワ近郊で7月下旬に開催される予定だった「国際航空ショー」が中止となり来年に延期されることになったと伝えました。

2年に1度開催されるこの「国際航空ショー」では、これまで各国の軍事関係者が集まり、ロシアの最新の戦闘機などが披露されるなど、ロシアの軍事産業をアピールする場となっていました。

これについてイギリス国防省は2日「ロシア国内での最近の無人機攻撃を受けて、安全への懸念から中止されたのだろう」と指摘しました。

また「この戦争は、ロシアの航空宇宙業界にとって非常に厳しいもので、この分野は国際的な制裁のもとで苦境に立たされている」とし、ウクライナ侵攻をめぐる欧米の厳しい制裁の影響を受けているとの見方も示しました。