【各地の被害】記録的大雨 1人死亡 浸水や土砂崩れなど相次ぐ

活発な前線の影響で西日本と東日本では大気の状態が不安定になり、山口県や九州北部では記録的な大雨となっています。

山口市では用水路で軽乗用車が転落しているのが見つかり、乗っていた男性1人が死亡しているのが確認されました。

大雨による各地の被害状況をまとめています。

山口県

【用水路に軽乗用車転落 男性1人死亡】
1日午前5時20分ごろ、山口市小郡上郷のJR仁保津駅近くの用水路で「車が流されている」という通報が警察や消防に相次いで寄せられました。警察と消防が現場に駆けつけたところ用水路の中に軽乗用車が転落していて、通報のおよそ2時間半後に車内から成人の男性1人を救助しましたが、その場で死亡が確認されました。

【住宅の浸水 車が水につかる被害相次ぐ】
NHKが山口県内の警察署と消防に問い合わせたところ、各地で住宅の浸水や車が水につかるなどの被害が相次いでいます。

警察によりますと、美祢市の県道で1日午前1時すぎに車7台が水につかり、このうち、軽自動車1台に乗っていた人と連絡がついていないということです。このほか警察や消防によりますと、山口市や宇部市、それに防府市で車の一部が水につかりましたが、乗っていた人はいずれも救助されてけがをした人はいませんでした。

NHKが山口県内の警察と消防、それに自治体に問い合わせたところ、午前7時現在、各地で住宅が浸水する被害が相次いでいます。

山口市消防本部によりますと、1日午前4時までに山口市朝田のJR大歳駅付近の10棟ほどの住宅から「自宅が浸水している」という通報が相次いで寄せられたということです。現場では、消防が住宅に残された住民を救助し、けが人はいないということです。

また美祢市では午前3時20分までに複数の住宅で床上や床下が浸水しているという情報が相次いで寄せられ、市が被害の状況を確認しています。さらに宇部市でも複数の住宅で床上や床下浸水の情報が寄せられ、周辺の道路が50センチから1メートルほど冠水しているということです。いずれも今のところけが人などの情報は入っていないということです。

【橋と線路が崩落】
美祢市を流れる厚狭川が増水し、JR美祢線は、南大嶺駅と四郎ケ原駅の間で川をまたぐ橋と線路が崩落しました。また、この周辺では複数の箇所で線路の盛り土が川に流され、線路が浮いた状態になっています。

JR西日本によりますと、いつ崩落したかはわからないということですが、美祢線は30日の正午ごろから運転を取りやめていたため、けが人などは出ていないということです。

美祢線は2010年7月の大雨でも線路の盛り土が流されるなどの被害があり、1年以上にわたって運休となりました。
美祢線をめぐっては、利用者の減少で昨年度までの3年間の平均の収支が4億6000万円の赤字となるなど、路線のあり方についての議論が進められています。

【住民 後片づけに追われる】
宇部市二俣瀬の木田地区では、複数の住宅が水につかり、住民が後片づけに追われていました。

大雨の警戒に当たっていた宇部市消防団二俣瀬分団の田中耕作さんによりますと、1日午前3時ごろ近くを流れる厚東川が氾濫し、周辺の道路が50センチから1メートルほど冠水したということです。

また、国道沿いのガソリンスタンドでは、従業員が水につかった事務所の片づけや4台ある給油機の点検などに追われていました。

営業再開の見通しは立っていないということで、店長の梶間秀明さんは「店が心配でしたが国道が通行止めになって、すぐに駆けつけることができませんでした。けさの被害には驚いたとしか言えません」と話していました。

大分県

【 土砂崩れ住宅倒壊 男性連絡取れず】
30日午後11時50分ごろ、由布市湯布院町の川西地区で「土砂崩れが発生して住宅が流されている」と停電の復旧作業のため現場近くを訪れた電力会社の作業員から市に連絡がありました。大分県によりますと、麻生繁喜さん(70)の自宅の裏にある山が崩れ、麻生さんと連絡がとれなくなっているということです。

由布市には土砂災害警戒情報が出されていて、大分地方気象台によりますと、30日午後8時26分までの1時間に、観測史上最も多い68ミリの非常に激しい雨を観測したということです。

福岡県

【 倒壊住宅から女性救助 命に別状なし】
岡垣町波津で、1日午前6時すぎ住宅が倒壊したという通報があり、消防が現場を確認したところ、平屋建ての住宅1棟が倒壊していました。住宅には高齢の女性が取り残されていましたが消防によって救助され、命に別状はないということです。

【道路冠水などの影響も】
また、北九州市では小倉南区※葛原東でJR日豊本線の線路の下を通る県道のアンダーパスが水につかり、午前2時半ごろに進入したトラックが動けなくなったということです。トラックを運転していた男性は自力で脱出し、けがはなかったということです。

川崎町では住宅街の道路が幅5メートルにわたって陥没し、走行していたトラックの車輪が穴にはまって動けなくなりました。

福岡市城南区の住宅街では、造成地の周りのコンクリートの擁壁の一部が崩れました。けが人はいないということです。

このほか、久山町の県道の新犬鳴トンネル付近で道路に沢から流れ出た石が散乱し通行止めとなっているほか、大牟田市や古賀市など複数の自治体で道路の冠水などが起きています。

※葛の「人」が「ヒ」

【道路陥没で復旧作業】
福岡県川崎町では道路が幅5メートルほど陥没し復旧作業が進められています。

警察によりますと、陥没は大雨の影響で1日5時半ごろ発生したとみられ、当時、現場を走行していたトラックの車輪が穴にはまって動けなくなったということです。

トラックは撤去されましたが、片側一車線の道路のそれぞれの車線が陥没し、折れた配管がむき出しになっています。
現場は住宅街で、役場などによる復旧作業が進められています。

近くに住む70代の女性は、「大きな音がして、あとから陥没が起きていたとわかりました。近くでまさかこんなことが起きるとは驚きました」と話していました。

愛媛県

【県内各地で土砂崩れや道路の冠水】
松山市大井野町の国道317号では道路脇の斜面が崩れて、路面が土砂で覆われ、乗用車が土砂に乗り上げましたが、運転していた女性にけがはありませんでした。

また松山市によりますと松山市河野高山の裏山で土砂崩れが起き、住宅に被害が出たということです。人的被害はないということです。

このほか八幡浜市保内町、砥部町宮内、それに宇和島市津島町などで土砂崩れが発生したということです。

愛媛県のまとめによりますと、松前町では住宅2棟が床下まで水につかったほか、宇和島市では倒木が屋根に刺さって住宅1棟が一部破損する被害が確認されたということです。

このほか、松山市でも住宅が水につかる被害が相次いでいて、市が実態の確認を進めています。
午後5時現在で愛媛県内ではけが人などの人的被害は確認されていません。