希少がん患者 オンライン治験開始へ 地方からも参加しやすく

希少ながんの患者がオンラインで治療薬の治験に参加できる「オンライン治験」を東京の国立がん研究センター中央病院が始めることになりました。治験への参加が難しかった地方の患者にとって負担の軽減が期待できるとしています。

新たな治療法の開発を目指す治験は大都市部の病院で行われることが多く、特に希少ながんの場合、地方では参加できる治験がなく、患者にとっては、移動などで時間や経済的な負担が大きいのが課題になっています。

この状況を改善しようと、国立がん研究センター中央病院は地方の病院と結ぶ「オンライン治験」を来月から始めると発表しました。

「オンライン治験」では、患者は近くの病院で主治医とともに、オンラインで結んだ中央病院の医師から治験の説明や診療を受けたあと、自宅に配送された薬を服用することで、一度も東京を訪れることなく治験に参加できるということです。

対象は手や腕などにがんができる「類上皮肉腫」という、患者数が2015年までの10年間で174人と極めて少ないがんなど、2種類の希少がんで、まずは国立病院機構四国がんセンターと島根大学医学部附属病院で始め、今後、参加する病院を増やしていきたいとしています。

国立がん研究センター中央病院の中村健一国際開発部門長は「患者の負担軽減に加え、病院にとっては患者を集めるプロセスを大幅に短縮でき、治験の迅速化が見込める。対象の病気も広げていきたい」と話しています。