仏 警察官が少年射殺 抗議が暴動に 全土でバスなど運行停止

フランスのパリ郊外で17歳の少年が警察官に銃で撃たれて死亡した事件をきっかけに警察への抗議が暴動に発展したことを受け、フランス全土では6月30日夜、バスと路面電車の運行が停止されるなど影響が広がっています。

パリ郊外のナンテールでは6月27日、17歳の少年が、検問中の警察官に銃で撃たれて死亡したことをきっかけに、各地で警察への抗議活動が広がり一部が暴動に発展しました。

フランス内務省によりますと、29日夜から30日朝にかけても各地で混乱が続き、900人近くが拘束されたほか、警察官200人以上がけがをしたということです。

また、被害を受けた建物はあわせて500棟近くに上り、このうちおよそ200棟は警察や行政の建物だとということです。

事件が起きたナンテールでは、多くの店舗で窓ガラスが割られたり、放火されたりするなどの被害が出ていて、燃やされた車が、あちこちで放置されたままになっていました。

また、現場の近くでは、亡くなった少年を追悼するため、たくさんの花束が手向けられていました。

こうした事態を受けて、フランス全土では30日、被害の拡大を防ぐことを目的にバスと路面電車の夜間の運行が停止され、影響が広がっています。

フランスのマクロン大統領はベルギーで開かれたEU=ヨーロッパ連合の首脳会議から予定よりも早く戻り、危機対応のための会議を開くなどフランス政府は事態の収拾を急いでいます。

住民からは対話促す声も

17歳の少年が警察官に銃で撃たれて死亡したことをきっかけに、各地で警察への抗議活動が広がっていることについて、事件が起きたフランスのパリ郊外のナンテールでは30日、住民たちから抗議活動に理解を示す声や、対話を促す声などが聞かれました。

このうち、ナンテールに住む女性は「私は当初から抗議活動を支持していました。なぜならば、今回のような出来事はもうたくさんだからです」と話していました。

また、事件現場の近くに住む男性は「私には一緒に暮らす家族や友人がこの地域にいるので、恐ろしいです。今回の出来事についてみんなが対話をすべきです」と話していました。

アルジェリア外務省「国民の保護に努める」

パリ郊外のナンテールで17歳の少年が警察官に銃で撃たれて死亡したことについて、少年の出身国とされるアルジェリア外務省が声明を出しました。

この中で外務省は「青年の死を衝撃と悲しみとともに受け止めている。フランス政府が平穏と治安を守る責任を果たすことに期待する。この悲惨な事件の進展に高い関心を持ち続けるとともに、国民の保護に努める」とした上で、海外に暮らすアルジェリア国民に対し、冷静に対応するよう呼びかけました。