7月は食品など3500品目余値上げ 1年の値上げ品目数 去年上回る

今月値上げされる食品や飲料がパンなどをはじめ、3500品目余りに上ることが民間の調査でわかりました。今後の予定も含めたことし1年間の値上げの品目数はすでに去年を上回り、3万品目近くに上っています。

民間の信用調査会社帝国データバンクが国内の食品や飲料メーカー、195社を対象にまとめた調査によりますと、今月値上げされる食品や飲料は「再値上げ」や価格を変えずに内容量を減らす「実質値上げ」を含めて3566品目となっています。

商品別で見ると、パンが、輸入小麦の政府売り渡し価格の引き上げなどの影響で、1578品目と、全体のおよそ4割を占め、次いで加工食品が836品目、調味料が619品目などとなっています。

また、来月以降も生乳の価格上昇で乳製品を中心に値上げが予定されているほか、10月には酒類を中心に現時点で3000品目以上が値上げされる見込みで、5000品目を超える値上げラッシュとなる可能性もあるとしています。

さらにことし1年間の食品と飲料の値上げは、累計で2万9106品目とすでに去年1年間の品目数を上回り、今後もさらに増えて3万5000品目前後に達すると予想しています。

帝国データバンクは「原材料価格の高騰の影響は一部で落ち着きつつあるが、電気代や人件費、物流費の負担が徐々に増す中で、値上げのペースは引き続き高い水準にある。一方、足もとでは値上げのあと、店頭での売れ行きが伸び悩む食品も出始めるなど、値上げへの消費者のマインドは寛容さを失いつつある」と指摘しています。

7月の主な値上げ品目

原材料価格や物流費などの上昇で、パンや小麦粉など家庭用の食品が相次いで値上げされます。

大手パンメーカー3社は7月1日の出荷分や納品分から、食パンや菓子パンなど、一部の商品の出荷価格を引き上げます。

値上げ率はいずれも税抜きで
▽「山崎製パン」が227品目で平均7%
▽「フジパン」がおよそ220品目でおよそ3.8%から12%
▽「敷島製パン」が269品目でおよそ2%から8%となっています。

理由について各社は、輸入小麦の政府の売り渡し価格がことし4月に引き上げられたうえ、包装資材や物流費などが上昇したためとしています。

また、製粉大手3社は、7月1日の納品分から家庭用の小麦粉や、小麦粉を原料に使う天ぷら粉など一部の商品を値上げします。

値上げ率はいずれも税抜きの希望小売価格や参考小売価格で
▽「日清製粉ウェルナ」と「昭和産業」がおよそ2%から7%
▽「ニップン」がおよそ3%から15%となります。

このほか、パックごはんでは「サトウ食品」と「越後製菓」それに「はごろもフーズ」が7月1日の出荷分から値上げします。

さらに、調味料や菓子、それに国産のウイスキーなどで主なメーカーが今月、一部の商品を値上げしたり、内容量を減らす実質値上げをしたりします。

日本マクドナルド 都心部の一部店舗で値上げ

ハンバーガーチェーン大手の日本マクドナルドは7月19日から都心部の一部の店舗で、商品を値上げします。

対象となるのは東京や大阪など都心部の185店舗で、これらの店では「ビッグマック」やセットメニューなど一部の商品について、税込みで10円から90円値上げされます。

このチェーンでは現在、空港や駅といった特殊な立地や、都心部の一部のあわせて43店舗で、通常より高い価格を設定していますが、今回、対象店舗を見直すことで、通常より高い価格で販売する店の数は228に増え、全国およそ3000店のうち8%程度にあたるということです。

今回の値上げの理由について会社では都心部を中心に、人件費や賃料など店の運営コストが上昇し、これまでの値上げ分だけではコストを吸収しきれないためだとしています。

ただ、通常より高い価格で販売する228店舗の中でも、半数余りの店で引き上げ幅を抑えた新たな価格帯が導入されていて、会社は客の負担を少しでも抑えるための措置だとしています。

また、これとは別に、全国のおよそ2200店舗で展開しているデリバリーサービスで、7月19日から大半の商品を値上げします。

値上げ幅は税込みで10円から110円で、このうち
▽ハンバーガーは220円から240円に
▽チーズバーガーが250円から280円に、それぞれ引き上げられます。

オレンジジュース 販売休止や値上げの動きも

ジュースの原材料に使うオレンジの供給が世界的にひっ迫しているとして、飲料メーカーの間では、オレンジジュースの一部の商品で販売休止や値上げの動きが出ています。

このうち、キリンビバレッジは、外国産のオレンジ果汁100%の900ミリリットル入りオレンジジュースについて、6月1日から7月末まで販売を一時休止しています。

オレンジの主な産地であるブラジルやアメリカで天候不順による不作や病害が広がった影響で、世界的に供給がひっ迫し、価格も高騰したことから果汁の調達が困難になっているということです。

会社では8月1日の納品分から販売を再開しますが、コストの上昇を受けて、再開後の希望小売価格は税抜きで350円と、今より90円値上げするとしています。

さらに別の330ミリリットル入りの果汁100%オレンジジュースも10月1日の納品分から値上げし、税抜きの希望小売価格を今の160円から216円とします。

また、雪印メグミルクは外国産のオレンジ果汁を使ったオレンジジュースの一部の商品で、ことし4月上旬から販売を休止していて、販売再開のめどはたっていないということです。