西~北日本の広範囲 7月1日にかけ大雨おそれ 夜は安全な場所で

前線の活動が活発になり、山口県では猛烈な雨が降っています。西日本から北日本の広い範囲で大雨となり、特に九州と山口県では1日午前にかけて「線状降水帯」が発生して災害の危険度が急激に高まるおそれがあります。ふだん雨の少ない北陸などの日本海側でも災害が発生するおそれがあり、土砂災害や低い土地の浸水、川の氾濫に厳重に警戒し、今夜は安全な場所で過ごしてください。

気象庁によりますと本州付近を南下する前線に向かって南から暖かく湿った空気が流れ込み、西日本から北日本にかけての広い範囲で大気の状態が非常に不安定になっていて、この時間は九州や中国地方、北陸に加え、北海道でも雨雲が発達しています。

午後11時半までの1時間には
▽山口県が下関市に設置した雨量計で81ミリの猛烈な雨を観測し
▽北海道厚真町で35ミリの激しい雨が降りました。

九州ではこの24時間の雨量が200ミリから300ミリを超える大雨となっているところもあり、大分県と佐賀県、福岡県、熊本県、山口県、島根県、広島県では土砂災害の危険性が非常に高まり、「土砂災害警戒情報」が発表されている地域があります。また、福岡県、大分県、山口県では氾濫の危険性が非常に高い「氾濫危険水位」を超えている川があります。

「線状降水帯」発生で災害の危険度高まるおそれ

1日は西日本から北日本の広い範囲で大気の非常に不安定な状態が続く見込みで、雷を伴って非常に激しい雨が降り、九州では局地的に1時間に80ミリ以上の猛烈な雨が降るおそれがあります。

九州北部と九州南部、それに山口県では午前中にかけて発達した積乱雲が次々と連なる「線状降水帯」が発生して急激に雨量が増え、災害の危険度が急激に高まる可能性があります。

また、北陸や中国地方などふだん雨の少ない日本海側でも大雨となり、災害が発生するおそれがあります。

1日夕方までの24時間に降る雨の量はいずれも多いところで
▽九州北部と九州南部、近畿で300ミリ、
▽四国で250ミリ、
▽東海と山口県で200ミリ、
▽北陸と関東甲信で180ミリ、
▽中国地方で150ミリ、
▽新潟県で120ミリ、
▽東北と北海道で100ミリと予想されています。

さらに
▽2日の夕方までの24時間には九州と関東甲信で50ミリから100ミリ、
▽3日月曜日の夕方までの24時間には九州南部で100ミリから150ミリの雨が降る見込みです。

線状降水帯が発生した場合は局地的に雨量がさらに増えるほか、これまでの雨ですでに地盤が緩み、ふだんより少ない雨でも土砂災害などの危険性が高まるおそれがあります。

気象庁は土砂災害や低い土地の浸水、川の氾濫に厳重に警戒するとともに、落雷や竜巻などの激しい突風にも十分注意するよう呼びかけています。

夜間に災害の危険度が急激に高まるおそれがあり、雨の降り方や自治体からの最新の情報に注意してください。

雨がいったん弱まった地域でもこのあと朝にかけて再び強まるおそれもあります。

増水した川や山の斜面など危険な場所には絶対に近づかず、安全な場所で過ごして下さい。

30日午前11時時点の各地で警報級の大雨になる可能性がある期間は次の通りです。

九州1日夜遅くにかけて特に可能性高い

九州北部はこれから7月5日にかけてで、特にこれから7月1日の夜遅くにかけて警報級の可能性が高くなっています。

九州南部は、これから7月4日にかけて警報級の大雨となる可能性があり、特に30日に夜から1日の夜遅くにかけて可能性が高くなっています。

西日本と近畿で可能性高く

中国地方は、これから7月1日の夜遅くにかけて、四国は30日夜から1日の夜遅くにかけて警報級の可能性があります。

近畿は、これから7月1日の夜遅くにかけてで、特に30日夜から1日の夜遅くにかけて警報級の可能性が高くなっています。

東日本と北陸と東海で可能性高く

北陸と東海は、これから7月1日の夜遅くにかけて警報級の可能性が高くなっています。

関東甲信は、これから1日の夜遅くにかけて警報級の可能性があります。

北日本と東北で可能性高く

東北は、これから7月1日の夜遅くにかけて警報級の可能性があり、特に1日朝にかけて可能性が高くなっています。

北海道は、これから1日朝にかけて警報級の可能性があります。

早めの備えを

夜間に雨が強まり、災害の危険度が急激に高まると避難の判断が遅れてしまう可能性があります。

あらかじめ自宅周辺の災害のリスクや、いざというときの避難先やルートを確認し、早めの行動を心がけるようにしてください。

気象庁「九州北部地方と南部 災害危険度急激に高まる可能性」

30日午後2時から国土交通省と気象庁が共同で報道機関の取材に応じ、7月1日にかけての大雨の見通しや警戒点について説明しました。

この中で、気象庁予報課の立原秀一主任予報官は「九州を中心に雷を伴った猛烈な雨が降り、すでに大雨となっているところがあり、西日本から東北では地盤が緩んでいるところや増水している河川がある」と説明しました。

そのうえで「あすにかけて九州を中心に西日本から北日本の広い範囲で雷を伴った猛烈な雨や非常に激しい雨が降り大雨となる。特に九州北部地方と九州南部では線状降水帯が発生して大雨災害の危険度が急激に高まる可能性がある」と話し、土砂災害や低い土地の浸水、川の氾濫に厳重に警戒するよう呼びかけました。

状況が悪化する前に早めの避難を

7月1日にかけて前線の活動が活発になるため、線状降水帯が発生したり、予想以上に雨雲が発達したりした場合は状況が急激に悪化します。

すでに大雨になっている地域に加え、今は雨が強まっていないところでも、夜の暗い時間帯に災害のリスクが高まるおそれがあります。

夜暗くなってからの避難は危険を伴うため、日中の明るい時間帯に早めに避難するよう心がけてください。

毎年のように発生している大雨の災害では、高齢者や障害者など自力での避難が難しい人たちが多く犠牲になっています。

事前に近所の人に声をかけたり、離れて暮らす家族に電話をかけたりすることで安全に避難できたケースもあるため、声をかけあいながら早めの避難を心がけてください。

状況が悪化していたら

周囲の状況が悪化してしまっていたら、できるだけ安全に避難する方法を検討してください。

例えば、道路が冠水している場合は足元が確認できず危険です。

転倒して思わぬけがをしたり、側溝などにはまって流されたりする危険性もあります。

冠水した道路を通ることは避け、どうしても通らなければならない場合は2人以上で行動し、傘や長い棒などで足元を確認するようにしましょう。

最後の手段は“垂直避難”

災害が切迫し、家から出ることすらできないようなときは、建物の2階以上や、崖や斜面の反対側の部屋に移動することで、安全を確保できることもあります。

ただ、これはあくまでも最後の手段で、土石流や氾濫した川の水で家ごと流されて犠牲になった人もいます。

斜面や川の近くにいる場合には早めの避難を検討し、安全を確保するようにしてください。

“線状降水帯の予測”とは

発達した積乱雲が次々と連なる「線状降水帯」の発生のおそれが高まった場合、気象庁は去年6月から気象情報の中で警戒を呼びかけています。

幅を持って発表 災害への心構えを高めて

発表されるのは、大雨が予想される「半日から6時間前まで」で呼びかける範囲は主に全国11の地方ごとに行われるほか、対象とする時間帯も「朝」や「夜」などと幅を持って発表されます。

気象庁は、情報が出されたら危機感を高めてもらい、ハザードマップや避難場所、避難経路を確認するなどして、災害に備えてもらいたいとしています。

“出てないから安全”ではない

一方で、精度には限界もあります。

気象庁によりますと、去年、予測の情報を発表したのはあわせて13回で、実際にその地方で発生したのは3回でした。

ただ、線状降水帯が発生しなくても大雨となった事例もありました。

また、予測の情報を出さずに線状降水帯が発生したケースも8回あったということで「予測が出ていない地域が安全だ」というわけではありません。

急激に状況が悪化した場合は早めに安全な場所に移動するようにしてください。

状況悪化すると「顕著な大雨に関する情報」を発表

発達した積乱雲が次々と流れ込み非常に激しい雨が同じ場所に降り続くと「顕著な大雨に関する情報」が発表されます。

しかし、この情報が発表される時点では土砂災害や洪水が起きる危険性が急激に高まり、すでに外に出ることが危険になっているおそれがあります。

気象庁は、自治体の避難情報などをもとに早めの避難を心がけるよう呼びかけています。