【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(30日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる30日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ロシア ラブロフ外相「ロシアは困難から強くなる」

ロシアのラブロフ外相は30日、モスクワで行われた記者会見で、民間軍事会社ワグネルの代表、プリゴジン氏が武装反乱を起こしたことをめぐり「ロシアは安定しているのか」と質問されたのに対し「われわれは誰かに説明したり、約束したりする必要はない」などと述べ、懸念にはあたらないと強調しました。

そのうえで「この件は困難とは言いがたいが、ロシアは常にどんな困難からも、より強くなってきた。今回もそうなるだろうし、その過程はすでに始まっている」と述べ、強気の姿勢を示しました。

ウクライナ国防省「ロシア軍が原発から離れつつある」

ウクライナ国防省の情報総局は30日、ロシア軍が占拠するザポリージャ原子力発電所について「ロシア軍が原発から離れつつある。ロシア国営の原子力企業ロスアトムの従業員3人が最初に離れた」と発表し、ロシア側が原発から離れる動きが出ていると指摘しました。

また、ロスアトムと契約を結んだウクライナ人の従業員に対しても7月5日までに退避するように通告し、施設に残る従業員に対して、「緊急事態が発生した場合はウクライナを批判しろ」などの指示が出されたとしています。

ウクライナのゼレンスキー大統領は、6月22日、ザポリージャ原発でロシアがテロを計画していると主張していて、ロシア側の動きに警戒を強めているとみられます。

ウクライナ 総司令官「われわれが戦略的な主導権を握っている」

ウクライナのザルジニー総司令官は29日、SNSでアメリカ軍の制服組トップ、ミリー統合参謀本部議長と電話で会談したとして「われわれが戦略的な主導権を握っている。ウクライナ軍は前進し、敵は抵抗を示すが、多大な損害を被っている」と伝え、領土奪還を目指す姿勢を強調しました。

また、ウクライナ軍の参謀本部は南部ザポリージャ州の主要都市メリトポリやアゾフ海に面した港湾都市ベルジャンシクに向かう方面での作戦で、部分的に成功しているとしています。

ロシア通貨・ルーブル下落 政治的混乱への懸念影響か

ロシアの通貨・ルーブルは30日、ドルに対して去年3月下旬以来の安値となり、ロシア国内の政治的な混乱への懸念が影響しているとの指摘が出ています。

モスクワの外国為替の取り引きでは、30日午前、ロシアの通貨ルーブルが一時、1ドル=88ルーブルまで値下がりしました。

これは、ロシアによるウクライナへの侵攻開始後の去年3月29日以来の安値です。

ロシアの有力紙「コメルサント」は30日、民間軍事会社ワグネルの代表、プリゴジン氏による武装反乱が起きた後からルーブルが下落し始めたとして、ロシア国内の政治的な混乱への懸念が影響しているとの見方を示しています。

グレタさん「環境破壊の責任 ロシアに問いたい」キーウで訴え

ロシアによるウクライナでの環境破壊を調査しようと、スウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥーンベリさんが首都キーウを訪れ、ゼレンスキー大統領と面会し「環境破壊の責任をロシアに問いたい」と訴えました。

ウクライナ政府は、環境分野の専門家などによる国際的な作業部会をつくり、ロシアの軍事侵攻による自然環境への被害を調査するとともに、その責任を追及したい考えで29日、首都キーウで初めての会合が開かれました。

会合には環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんや、アイルランドの元大統領で国連の人権高等弁務官を務めたメアリー・ロビンソン氏などが参加し、ゼレンスキー大統領とも面会しました。

このなかでゼレンスキー大統領は、ダムの決壊で洪水の被害が出た南部ヘルソン州について「市民の飲み水だけでなく、農業用の水も不足し、大きな問題となっている」と述べ、調査への協力を求めました。

その後の会見でグレタさんは「ロシアは意図的にウクライナの環境と人々の生活を壊している。人道的な災害と環境破壊のつながりを明らかにし、その責任をロシアに問いたい」とロシアを非難しました。

作業部会では、およそ1年間にわたって現地のNGOなどから聞き取りを行って、被害の調査を行うとともに、ウクライナの持続可能な復興につなげるための計画を提言する予定です。

バイデン大統領「プーチン大統領の目的は西側諸国の分断」

アメリカのバイデン大統領は29日、テレビ番組に出演し、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアについて「プーチン大統領の目的は西側諸国を分断させることだ」と述べるとともに「日本をヨーロッパの課題に関与させることも含めて、結束を拡大させてきた」として同盟国や友好国との結束を強調しました。

バイデン大統領は29日、MSNBCテレビの番組に生出演してインタビューに応じ、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシア側の意図について「プーチン大統領の目的は1つでそれは西側諸国を分断させることだ」と述べました。

その上で「もしそうなれば大変なことになる。ただ、私たちは結束し、第2次世界大戦以降、最も重大な侵略が成功しないように対処することができている。それがウクライナに多大な支援を続けている理由だ」と述べ、支援を続けていく重要性を強調しました。

そして「就任以来、NATO=北大西洋条約機構をまとめることに注力してきた。日本をヨーロッパの課題に関与させることも含めて、結束を40の国々に拡大させてきた」と述べ、ロシアに対じするために、同盟国や友好国と結束してきたと強調しました。

ウクライナ 領土奪還進める姿勢アピール

ウクライナ軍の参謀本部は29日、ワグネルなどロシア側が5月、完全に掌握したと主張した東部ドネツク州の拠点バフムトの方面で主導権を握り、前線で攻撃作戦を展開しているとした上で、近郊では「占領地から敵を追い出し、陣地を固めている」とSNSに投稿しました。

ウクライナ国防省の情報部門のトップ、ブダノフ情報総局長は29日、地元メディアに対してワグネルの部隊は今後、ウクライナで戦闘に加わることはないとする見方を示した上で、ロシア側の損失は大きいと主張し、ロシア側が混乱を見せる中で領土の奪還を着実に進めていく姿勢をアピールしました。

プーチン大統領 誰の顔をイメージして描いた?

ロシアのプーチン大統領は29日、首都モスクワで行われたイベントの展示場を視察し、文字なども書き込める最新のスクリーンについて説明を受けました。その際、プーチン大統領は企業の担当者から促されるとペンをとり、少し考えたあと波線を2本ひいて目や下がった眉、それに大きな耳を描きました。そして、顔の下に自分の名前を書くと、周囲から大きな拍手がわきました。

SNS上では、プーチン大統領が誰の顔をイメージして描いたのか、さまざまな意見が出て、話題となっています。

プーチン大統領は前日の28日にはロシアの地方都市を訪れ、国営テレビはプーチン大統領が市民の握手に笑顔で応じる姿などを繰り返し伝えていて、武装反乱による混乱は収束したとアピールするねらいもありそうです。

ロシア国防省 プリゴジン氏に支援打ち切られると警告

ロシア議会下院のカルタポロフ国防委員長は29日、国防省が民間軍事会社ワグネルの代表、プリゴジン氏に対し、武装反乱の数日前に契約の締結を拒否された際、「ワグネルは特別軍事作戦に参加させず、資金も物資も割り当てられないことが通達された」と述べ、国からの支援が打ち切られると警告していたことを明らかにしました。

ロシアのプーチン大統領は27日、ワグネルに対して国が戦闘員の給与などの費用を負担していたことを明らかにしていました。

プリゴジン氏はワグネルが国防省の傘下に入らなければ支援を受けられなくなる可能性があることから追い詰められていったとみられます。