患者の人工呼吸器を一時停止 医師が会見「ほかに選択肢なく」

大阪 東大阪市の病院に勤めていた医師がおととし、人工呼吸器の装着方法の変更に同意が得られなかったことをきっかけに新型コロナの重症患者の人工呼吸器を一時的に止めていた問題で、29日、医師が会見し「ベストではないが、ほかに選択肢はなかった。希望があれば患者に説明したい」と述べました。

この問題は、おととし3月、東大阪市にある大阪府立中河内救命救急センターで部長だった40代の男性医師が、新型コロナの重症患者に人工呼吸器の装着方法の変更を提案したものの同意が得られず、人工呼吸器をおよそ2分間止めたというものです。

患者は一時、呼吸の状態が悪化し人工呼吸器の再開後に回復しましたが、病院は「重大な倫理違反がある」などとする報告書をまとめ、患者に謝罪しています。

これについて男性医師が29日、大阪市内で会見し「人工呼吸器の管を口から入れて長く使うと肺炎などの合併症で亡くなるケースがあるため、のどを一部切り開いて入れる方法に変えようと繰り返し説得したが同意が得られなかった。最近調子がいいと患者が言うので、呼吸器を止めたらしんどくなると思うが、止めてみますかと提案した。止めたあともベッドサイドでモニターをみて対応していて危険はなかった」と説明しました。

そのうえで「非常に特殊な状況で、ベストではないが同意を得るためにベターな選択肢を選ばざるをえない状況だった。患者の希望があれば丁寧に説明したい」と述べました。

これに対して府立中河内救命救急センターは「人工呼吸器を止める行為は、短時間で医師がそばいても患者の命に危険を及ぼすおそれを否定できない。時間をおいて患者や家族に再度説明するなどの対応を取るべきだった」としています。