加藤厚労相 “マイナカード一体化へ システム正確性向上急ぐ”

厚生労働省は、マイナンバーカードと健康保険証の一体化に向けて、省内に設けた「推進本部」の初会合を開きました。
加藤厚生労働大臣は、国民が安心して利用できるよう、システムの正確性の向上を急ぐ考えを示しました。

来年秋に今の健康保険証を廃止し、マイナンバーカードと一体化する政府の方針を踏まえ、厚生労働省は作業を円滑に進めるための「推進本部」を発足させ、29日に初会合を開きました。

会合の冒頭、本部長を務める加藤厚生労働大臣は、「課題を洗い出し、対応策を確実に実施していくことを通じて国民の不安や懸念の払拭(ふっしょく)を図り、安心してマイナンバーカードを健康保険証として活用してもらえるよう環境整備を進めることが必要だ。システムの正確性の向上が重要で、私が先頭に立って取り組んでいく」と述べました。

推進本部 “保険証の情報読み取れない場合でも3割負担に”

会議の中では、すでにカードと一体化した保険証の情報が医療機関で読み取れず、患者が窓口で一時的に医療費全額を負担させられるケースが報告されていることから、読み取れない場合でも、3割などとなっている自己負担分の請求にとどめるよう医療機関に求めることを確認しました。

情報を読み取れない場合の本人確認の方法として、カード取得者向けの専用サイト「マイナポータル」にログインして保険証の情報を提示することや、患者が持参した今の保険証で確認する方法をとるとしています。

いずれの方法も難しい場合には、加入している健康保険の情報などを所定の書類に記入してもらうとしています。

厚生労働省は、こうした方針を全国の医療機関や薬局に周知することにしています。

「マイナポータル」閲覧可能データ 総点検チームも稼働

マイナンバーカードをめぐるトラブルが相次ぐ中、厚生労働省は岸田総理大臣が、先にカード取得者向けの専用サイト「マイナポータル」で閲覧可能なすべてのデータを総点検するよう指示したことを受けて、担当者を集めた会議を開きました。

厚生労働省は、閲覧可能な29の情報のうち、医療や介護、年金など21の項目を所管しています。

加藤厚生労働大臣は会合で、「残念ながら、これまで組織横断的にマイナンバー制度の運用をチェックする体制が十分に整っていなかった。総点検にあたっては、各局ばらばらで進めるのではなく、横串を通しながら、統合的に進めていくことが重要だ」と述べました。