国交省の元事務次官の人事介入「空港施設」社長再任議案が否決

国土交通省の元事務次官による人事介入が明らかになった空港設備などを手がける「空港施設」の株主総会では、会社側が提案した社長の再任の議案が否決される異例の結果となりました。

東京 大田区に本社を置く「空港施設」をめぐっては去年、国土交通省の元事務次官が、この会社の乘田俊明社長らと面会し、当時、副社長だった国土交通省OBを次期社長にするよう求めていたことが明らかになっています。

29日、この会社の株主総会が開かれ、会社側が提案した乘田社長を含む9人の取締役候補の選任議案が諮られました。

採決の結果、このうち乘田社長については反対多数で再任が否決されました。
会社側が提案した経営トップの再任の議案が否決されるのは異例です。

乘田社長以外の8人は可決され、取締役に選任されました。

空港施設をめぐっては、日本航空とANAホールディングスがそれぞれ議決権ベースで株式の21%余りを保有する大株主となっています。

このうちANAホールディングスは「次の世代に人心を一新するため、乘田氏の選任には反対票を投じた」と明らかにしました。

また、日本航空は「議決権の行使についてはコメントしない」としています。

乘田社長は日本航空で取締役を務めたあと、2017年に「空港施設」の副社長に就き、おととし6月に社長に就任していました。

会社は、総会終了後に取締役会を開き、常務の田村滋朗氏が生え抜きの社員としては初めて社長に就任する人事を決めました。