科学・文化

“「背景重力波」が存在する証拠を捉えた” 米など研究チーム

ごくわずかな時間と空間のゆがみが波のように伝わる現象「重力波」が、宇宙のあらゆる方向からやってきていることを示す証拠を捉えたと、アメリカなどの国際的な研究チームが発表しました。
研究チームは、宇宙の成り立ちの解明につながるとしています。

重力波は、ブラックホールが合体するなど、巨大な質量を持った物体が動いた際、時間と空間のゆがみが遠くまで波のように伝わる現象です。

アメリカを中心とする国際研究チームは28日、ごく小さな重力波が宇宙のあらゆる方向からやってきていることを示す証拠を捉えたと、発表しました。

こうした重力波は「背景重力波」と呼ばれています。

重力波は、100年余り前にアインシュタインがその存在を理論的に示し、2015年、アメリカなどの研究チームが初めて観測することに成功しています。

このときに観測された重力波と比べると、周波数がはるかに低い「背景重力波」は観測が難しいとされていました。

研究チームは、「パルサー」と呼ばれる、極めて正確な周期で電波を出す天体を60個以上観測し、電波が到達する間隔が変動するか、およそ15年かけて調べました。

すると、間隔がごくわずかに短くなったり長くなったりと変動が観測され、こうした変動を生じさせる要因を詳しく分析した結果、背景重力波が存在する証拠を捉えたとしています。

さらに、ヨーロッパや中国など複数の研究チームもそれぞれ独自の観測データをもとに同じような結論を同時に発表していて、お互いの分析結果を補完しているとしています。

研究チームは、こうした重力波は極めて重いブラックホールがお互いの周りを回転する際などに発生していると考えていて、さらに高い精度で調べることで宇宙の成り立ちの解明につながるとしています。

研究者「日の目を見たことは本当に感慨深い」

今回、アメリカなどの研究チームと同時に、「背景重力波」の証拠を捉えたとする論文を発表した国際研究チームには、日本からも研究者が参加しています。

日本のメンバーを率いる熊本大学の高橋慶太郎教授は「各チームが独立しながらも情報交換を行い、互いに高めあってきた歴史がある。長期間にわたる国際的な共同研究に関わった多くの人が積み上げてきた成果であり、日の目を見たことは本当に感慨深い」と話しています。

ごく小さな重力波を観測する手法として、「パルサー」と呼ばれる極めて正確な周期で電波を発する天体に注目した点については「重力波による空間のゆがみは非常にわずかなので精密に測る必要があり、精密な道具が必要になるが、規則正しく電波を発するパルサーは非常に正確な時計として使うことができるので、重力波による時空のゆがみを電波が到達する時間のずれとして検出できる」と説明しています。

そのうえで、「背景重力波」の兆候を捉えた意義について「背景重力波はある特定の方向からではなく宇宙のあらゆる方向からの重力波のことで、超巨大ブラックホールの重力波の特徴を表すようなデータが得られている。超巨大ブラックホールは一つのシナリオとしてブラックホールが合体を繰り返して成長したと考えられており、宇宙の歴史のなかで巨大なブラックホールがどんどん合体しているというシナリオをかなり確度を持って検証できていることになる」と話しています。

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