【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(28日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる28日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ウクライナ ドネツク州 ミサイル攻撃での死者10人に

ウクライナ東部ドネツク州のクラマトルシクの中心部では27日、ロシア軍によるミサイル攻撃があり、ウクライナの非常事態庁によりますとこれまでに子ども3人を含む10人が死亡、56人がけがをしたということです。

ウクライナのゼレンスキー大統領は27日、公開した動画で「このようなテロ行為はロシアが裁きを受けるに値することを繰り返し明確にしている」と述べ、攻撃を続けるロシア軍を非難しています。

これに対し、ロシア大統領府のペスコフ報道官は28日、記者団に対し「ロシアが民間施設を攻撃することはない。攻撃の対象は軍事インフラ施設だけだ」と主張しました。

“2014年から占領 地域の1つ ウクライナ軍が初奪還か”英国防省

イギリス国防省は27日、ウクライナの空てい部隊が東部ドネツク州の中心都市ドネツクに近いクラスノホリウカまで前進したとの分析を発表しました。

ドネツクとその周辺では、9年前からロシアの支援を受けた親ロシア派勢力による支配が続き、プーチン政権は去年9月、ドネツク州を含む4つの州の一方的な併合に踏み切りました。

イギリス国防省は「2014年から占領されてきた地域の1つを、ウクライナ軍が初めて奪還した可能性が高い」と指摘しました。

また東部ではこのところ、ウクライナ軍が複数の反撃を同時に加えているとしたうえで「ロシア側を消耗させている可能性が高い」という見方を示しています。

“プリゴジン氏の影響力低下がねらいか” 一部ロシアメディア

ロシアのプーチン大統領が27日、軍人との会合で、プリゴジン氏の資金繰りを調査すると発言した背景について、一部のロシアメディアはプリゴジン氏の影響力を低下させたいねらいもあるとする見方を示しています。

このうち有力紙「コメルサント」は、「いまや『国民 対 億万長者プリゴジン氏』となった」と伝え、プーチン大統領が、プリゴジン氏に対する世論を否定的なものに変えようとしていると示唆しています。

また、同じく有力紙の「独立新聞」は、政治部長の論評を掲載し「最高司令官は民間軍事会社の指導部が、資金を盗んだのではないかとする疑念を軍人たちと共有した」と伝えました。

その上で「大統領は、経済事件という、前回より比較的穏やかだが新たな刑事事件の舞台を用意した」として、武装反乱の捜査は打ち切ったものの、不正疑惑を追及する構えを示すことで、プリゴジン氏をけん制したという見方を示しています。

一方、一部の独立系メディアでは、ワグネルは法的に認められておらず、プーチン政権は関わりを否定してきた経緯があるにもかかわらず、国の予算から巨額の財政支援が行われていたことが判明したと皮肉交じりに伝え、SNSでは地方の主要都市の予算をも上回っていると指摘する投稿も見られます。

ウクライナ ドネツク州にミサイル 4人死亡

ウクライナの検察当局は、27日、東部ドネツク州のクラマトルシクの中心部にロシア軍によるミサイル攻撃があり、17歳の少女を含む4人が死亡したと発表しました。

この攻撃でレストランや住宅などの建物が広い範囲で被害を受け、けが人の数は生後8か月の赤ちゃんを含めた40人以上にのぼるということです。

現地で撮影された映像では、建物の外壁や看板が大きく壊れた様子が確認できます。

クラマトルシクはこれまでもたびたび攻撃を受けていて、去年4月には鉄道の駅がミサイル攻撃を受け、子ども5人を含む50人以上が死亡しました。

アメリカ プリゴジン氏の関連会社などに制裁

アメリカのバイデン政権は27日、声明を発表し、ロシアの民間軍事会社ワグネルの代表プリゴジン氏などとつながりがあり、中央アフリカに拠点を置く企業など4つの団体とロシア人1人に対し、資産凍結などの制裁を科したと明らかにしました。

このうち、中央アフリカにある鉱山企業はプリゴジン氏の関連会社で、10億ドル以上、日本円で1400億円以上相当の金を埋蔵していると推定される鉱山の採掘許可を保有しており、ワグネルの活動を資金面で支えていると指摘しています。

アメリカはこれまでにもワグネルが各地で人権侵害に関わっているとして、ワグネルの活動を支える団体や個人に制裁を科しており、ブリンケン国務長官は声明の中で「ワグネルが活動してきた場所では死と破壊が後を絶たない。アメリカは責任を追及するため、行動を起こし続ける」と強調しています。

プーチン大統領 “ワグネルの費用 国が負担”

ロシアのプーチン大統領は27日、軍関係者との会合で、プリゴジン氏が代表を務める民間軍事会社ワグネルについて、戦闘員の給与や報奨金、保険金など「費用は全額国家予算から支払われていた」と述べ、ワグネルの費用を国が負担していたことを明らかにしました。

その上で「ワグネルの費用を国が肩代わりしたにもかかわらず、オーナーは軍への給食サービスで稼いでいた」と述べ、プリゴジン氏が経営する企業グループを通じた軍との事業で、国が年間800億ルーブル、日本円にしておよそ1350億円を支払っていたと指摘しました。

そして「この過程で誰も何も盗んでいないことを期待するが、われわれは当然、これについて調べる」と述べ、使途を調査する考えを明らかにしました。

プーチン大統領としては「裏切り者」だとして非難したプリゴジン氏の資金繰りに言及することで、ロシア国内での影響力を低下させたいねらいもあるとみられます。

核兵器の大部分 ベラルーシに

ロシアのプーチン政権が同盟関係にある隣国ベラルーシに対して戦術核兵器を配備する方針を示していることについて、ベラルーシの国営通信は27日、ルカシェンコ大統領が「核兵器の大部分はベラルーシに持ち込まれた」と述べたと伝えました。

また「ポーランドなどはワグネルが核兵器を守ると考えているが、核兵器がワグネルに守られることはない。これはわれわれの任務だ」として、ロシアの民間軍事会社ワグネルがベラルーシで活動しても、核兵器を防衛する任務につくことはないと強調したとしています。

ロシアのプーチン大統領は今月16日、「最初の戦術核兵器がベラルーシ領内に搬入された」と述べ、戦術核兵器の搬入がすでに始まっていると明らかにし欧米側へのけん制を一段と強めていました。

ルカシェンコ大統領 ワグネル利用し存在感高める可能性も

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は27日、「ルカシェンコ大統領はワグネルを利用して、力の均衡を取ろうとしている」として、ロシアが連合国家の創設を掲げ、ベラルーシを強い影響下におくなか、ルカシェンコ大統領がワグネルを利用し、存在感を高める可能性があると分析しています。

ポーランド大統領「非常に悪い兆候」

ベラルーシの隣国、ポーランドのドゥダ大統領は27日、ロシアの民間軍事会社ワグネルの代表プリゴジン氏とその部隊がベラルーシに移れば「事実上のロシア軍の移転になる」とした上で、「われわれにとって非常に悪い兆候だ」と述べ、安全保障上の脅威になると懸念を示しました。

その上で、ポーランドも加盟するNATO=北大西洋条約機構のほかの加盟国に懸念を伝える方針を示すとともに、ロシアに近い東欧やバルト3国の加盟国の防衛力強化を急ぐべきだと訴えました。

“プリゴジン氏 ベラルーシに” ルカシェンコ大統領が明らかに

ワグネルの代表プリゴジン氏は、ロシア国内で武装反乱を起こしたあと一転して部隊を撤収し、その後の消息は途絶えていました。

ロシアの隣国ベラルーシの国営通信は27日、日本時間の27日夜、ルカシェンコ大統領が、プリゴジン氏はベラルーシ国内にいることを明らかにしたと伝えました。

ルカシェンコ大統領はまた、「ワグネルの指揮官たちは戦闘の最前線にいたので、われわれのところに来れば何が重要かを教えてくれるだろう」と述べたほか、ワグネルに部隊の宿営地を提供する考えも示したとしています。

プリゴジン氏も26日、今後のワグネルの活動に関して「ルカシェンコ大統領が解決策を見つけようと手を差し伸べてくれた」と述べていて、ベラルーシにおけるプリゴジン氏の動向が当面の焦点です。

ルカシェンコ大統領 ロシアから連絡先入手し接触

ベラルーシの大統領府によりますと、ルカシェンコ大統領は27日に行った演説で、ワグネルの代表プリゴジン氏が起こした武装反乱について「完全な戦闘準備態勢に入るよう軍に命じた」と述べ、ベラルーシでも警戒態勢を強化したことを明らかにしました。

またルカシェンコ大統領は、武装反乱を起こしてモスクワに向けて部隊を進めるとしていたプリゴジン氏と水面下で接触するまでの経緯だとするやりとりについても触れました。

このなかでルカシェンコ大統領は24日の朝にプーチン大統領と話をした際、厳しい状況を知り、さらなる事態の悪化を避けるためロシアの治安機関、FSB=連邦保安庁を通して連絡先を入手し、ロシア南部ロストフ州にいるプリゴジン氏と接触したとして、みずからが果たした役割を強調しました。