処理水放出工事完了 福島県漁連会長“引き続き反対していく”

東京電力福島第一原子力発電所にたまる処理水を薄めて海に放出するための設備の工事が完了したことを受けて、福島県漁連の野崎哲会長は27日、引き続き放出に反対していく考えを示しました。

福島第一原発にたまるトリチウムなどの放射性物質を含む処理水について、政府は基準を下回る濃度に薄めて、ことし夏ごろまでに海への放出を始める計画で、東京電力は26日、放出設備の工事を完了させました。

こうした中、27日、東京電力の担当者が、福島県いわき市で開かれた福島県漁連の会議に出席し、工事などの現状を説明しました。

会議では、県漁連の野崎哲会長が「どんなことがあっても漁業を続けることが反対を示す一番の姿勢になる」と述べ、引き続き放出に反対していく考えを示しました。

会議のあと、野崎会長は報道陣の取材に対し、政府と東京電力が8年前、県漁連に対し「関係者の理解なしにいかなる処分も行わない」という方針を伝えたことに触れ、「国や東京電力が漁業者の要望に応えて説明を重ねていることは重く受け止めている。ただ、了解はしておらず、流してもらいたくないという思いはいまだに同じだ」と述べました。

処理水をめぐっては、28日から原子力規制委員会による設備全体の性能を確認する検査が行われる予定で、合格すれば放出に向けた設備面での準備が整うことになります。

松野官房長官 “海洋放出の時期は政府全体で判断”

松野官房長官は、午後の記者会見で「アルプス処理水の海洋放出の時期は、安全性の確保や風評対策の取り組みの状況を政府全体で確認し判断していく。引き続き漁業者をはじめとする方々と意思疎通を密にし、政府を挙げて安全性確保と風評対策の徹底に取り組むとともに、IAEA=国際原子力機関の包括的な報告書の内容をはじめ、丁寧な説明と意見交換を重ねていきたい」と述べました。