【27日詳細】プリゴジン氏 ベラルーシに到着か 動向は?

ベラルーシの国営通信は、「ルカシェンコ大統領がロシアの民間軍事会社ワグネルの代表プリゴジン氏がベラルーシ国内にいることを明らかにした」と伝えました。

プリゴジン氏はロシア国内で武装反乱を起こしましたが、一転して部隊を撤収させ、その後ロシア大統領府はプリゴジン氏が隣国のベラルーシに行くという見通しを示していました。

一方、プリゴジン氏も26日、今後のワグネルの活動に関して「ルカシェンコ大統領が解決策を見つけようと手を差し伸べてくれた」と述べ謝意を示していて、プリゴジン氏のベラルーシにおける動向が今後の焦点です。

ルカシェンコ大統領 “ワグネル指揮官から学べる”

ベラルーシの国営通信社によりますと、ルカシェンコ大統領は27日、フレニン国防相との会談の中で、ロシアの民間軍事会社ワグネルについて言及しました。

ルカシェンコ大統領は「ワグネルの指揮官たちは戦闘の最前線にいたので、彼らがわれわれのところに来て助けてくれるなら、何が重要かを教えてくれるだろう。戦術や兵器、攻撃や防御の方法は貴重だ。それがワグネルから学ぶべきことだ」と述べ、ワグネルの部隊がベラルーシに来ることを歓迎しました。

ロシア大統領府は、ワグネルの代表プリゴジン氏がベラルーシに行くという見通しを示しているほか、プーチン大統領はワグネルの戦闘員がベラルーシに行けば、安全を保証するともしています。

プリゴジン氏所有の航空機 ベラルーシに着陸か

ベラルーシの独立系監視団体「ガユン」は27日、航空機の追跡サイトの情報をもとに、ロシアの民間軍事会社ワグネルの代表、プリゴジン氏が所有するとみられるプライベートジェット機のうち1機が、ベラルーシの首都ミンスク郊外の空軍基地に着陸したと伝えました。

本人が搭乗しているかは明らかになっていませんが、ロシア大統領府はプリゴジン氏がベラルーシに行くという見通しを示していて、プリゴジン氏の動向に引き続き注目が集まっています。

ロシア報道官 プリゴジン氏の所在“情報ない”

ロシア大統領府のペスコフ報道官は27日、記者団に武装反乱を起こした民間軍事会社ワグネルの代表プリゴジン氏について「情報がなく、どこにいるか言うことができない」と述べ、所在については分からないとしました。

ペスコフ報道官は先に、プリゴジン氏はベラルーシに向かうという見通しを明らかにしていました。

プーチン大統領 反乱の対応にあたった部隊たたえる

ロシアのプーチン大統領は日本時間の今夜7時すぎから、首都モスクワのクレムリンで、演説しました。

このなかでプーチン大統領は、民間軍事会社ワグネルの代表プリゴジン氏による武装反乱で対応にあたった治安機関の部隊を前に「あなたたちの活動により、市民の犠牲を防ぐことができた」と述べ、部隊をたたえました。

プリゴジン氏 日本時間26日夜 音声メッセージを公開

ロシアで武装反乱を起こしたあと消息が途絶えていた民間軍事会社ワグネルの代表プリゴジン氏は日本時間の26日夜、新たな音声メッセージを公開しました。「政権転覆の意図はなかった」などと主張しています。

ロシアの民間軍事会社ワグネルの代表プリゴジン氏は、国防省との確執を深める中で武装反乱を起こし、首都モスクワに向けて部隊を進めましたが、一転して部隊を引き返させ、占拠していた南部の軍司令部からも撤収させました。

その後、プリゴジン氏の消息は途絶えていましたが、日本時間の26日夜遅く、およそ11分間の新たな音声メッセージをSNSに投稿しました。

ロシアでは国防省が、ワグネルの戦闘員などに対して6月中に国防省と契約を結ぶよう迫っていましたが、プリゴジン氏が拒否し、反発を強めていました。

プリゴジン氏は、今回の音声メッセージの中で、「謀略によってワグネルは7月1日に消滅しなければならなかった。戦闘員は誰も国防省との契約に同意しなかった。これまでの戦闘能力が完全に失われることを誰もが知っていたからだ」と述べました。

そのうえで「抗議デモを行うつもりだった。政権転覆の意図はなかった」として反乱ではなかったと主張しました。

そして、ロシアで流血の事態を避けるため部隊を撤収させたと強調した上で、隣国ベラルーシのルカシェンコ大統領の名前を挙げ「ワグネルが今後も活動するための解決策を見つけようと手を差し伸べてくれた」などと述べました。

プリゴジン氏がSNSに投稿したのは、日本時間の25日未明に、部隊を引き返させるとする音声メッセージを発信したあと初めてです。

ただ、発信した場所はわかっておらず、自身がどこにいるかは明らかにせず、その動向に引き続き関心が集まっています。

“ベラルーシ国内にワグネル戦闘員のキャンプ建設”

ロシアの独立系メディアは26日、ロシアの民間軍事会社ワグネルの戦闘員のために、ベラルーシ国内で複数のキャンプが建設されていると伝えました。

このうちロシアに接するベラルーシ東部の州にあるキャンプは、広さが2万4000平方メートルで8000人が収容できるということです。

また、夫がワグネルの戦闘員だという女性の話として「ロシア南部のロストフ州にいた夫は、今後ベラルーシに送られる可能性が高いと話していた」と伝えています。

キャンプについては、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」が26日、報道を引用した上で「キャンプの建設場所はウクライナの国境から200キロほど離れていて、ウクライナにとって直ちに脅威になるわけではない」と分析しています。

プーチン大統領 ワグネル戦闘員に国防省と契約結ぶ選択肢

ロシアのプーチン大統領は、ロシアの民間軍事会社ワグネルの代表、プリゴジン氏による武装反乱を激しく非難する一方、ワグネルの戦闘員たちに対しては兵士として国防省との契約を結ぶ選択肢を示すとともに、同盟関係にある隣国ベラルーシに行けば、安全を保証すると主張しました。

ロシア国営テレビは、26日夜、日本時間の27日4時すぎから、プーチン大統領の演説を放送しました。

このなかでプーチン大統領は、ロシアの民間軍事会社ワグネルの代表、プリゴジン氏による武装反乱を念頭に「武装反乱はいかなる場合でも鎮圧される。反乱を組織した者たちは、国や国民を裏切り、犯罪に引きずり込んだ者も裏切った」と激しく非難しました。

一方で、ワグネルの部隊が一転して撤退したことに対し「唯一正しい決断を下したワグネルの兵士たちに感謝する。流血には至らず、最後の一線で立ち止まった」と述べました。

そのうえで、ワグネルの戦闘員たちに対し「国防省やほかの機関と契約を結ぶことでロシアに奉仕し続ける機会や、家族のもとに戻る機会もある。望む人は、ベラルーシに行くことができる。私との約束は果たされる」と述べ、兵士として国防省との契約を結ぶ選択肢を示すとともに、同盟関係にある隣国ベラルーシに行けば、ワグネルの戦闘員の安全を保証すると主張しました。

そして今回の武装反乱をめぐって、プーチン政権とプリゴジン氏との仲介役を担ったとされるベラルーシのルカシェンコ大統領に対し、「平和的な解決への努力と貢献に感謝する」と述べ、謝意を示しました。

また、プーチン大統領は、「ロシアの敵であるウクライナのネオナチやこれを支援する西側諸国などが望んでいたのは、ロシア兵が互いに殺し合い、最終的にはロシアが負け、われわれの社会が分裂することだった」などと主張し、ウクライナや欧米側を強くけん制しました。

また、ロシア大統領府はプーチン大統領が26日夜、日本時間の27日朝、ショイグ国防相のほか、検事総長や内相、FSB=連邦保安庁の長官など治安機関のトップを集めた緊急の会議を開いたと発表しました。

会議の冒頭、プーチン大統領は「ここ数日のあなたたちの業務の遂行に感謝するとともにわれわれが直面している現状と課題について話し合うために集まってもらった」と述べ、プリゴジン氏による武装反乱をめぐって協議を行ったものとみられます。

ロシア国防省“ワグネルからロシア軍に兵器移転準備”

ロシア国防省は27日、日本時間の27日夕方、ワグネルからロシア軍の部隊に、軍用車両や大砲などの兵器を移転する準備が進められていると発表しました。

ロシア国防省は、ワグネルの戦闘員など戦闘に志願する者に対して今月中に契約を結ぶよう迫っていましたが、ワグネルの代表プリゴジン氏は拒否し続けて反発を強め、武装反乱を起こした背景の1つにもなっていました。

プリゴジン氏の捜査打ち切り

ロシアの治安機関FSB=連邦保安庁は27日、民間軍事会社ワグネルの代表プリゴジン氏に対して進めていた捜査を打ち切ったと明らかにしました。

このなかでFSBは、プリゴジン氏が起こした武装反乱について「参加者たちが犯罪を目的とした行動を中止したことが判明した。この事実と捜査に関連するその他の状況を考慮した」としています。

ロシア大統領府もプリゴジン氏に対する捜査は取りやめられるとしたうえで、プリゴジン氏はベラルーシに向かうという見通しを明らかにしていました。

バイデン大統領「ロシア国内での争いだ」

アメリカのバイデン大統領は26日、ロシアの民間軍事会社ワグネルの代表、プリゴジン氏が武装反乱を起こして以降、初めて、公の場で演説しました。

この中で、バイデン大統領は武装反乱をめぐる事態を注視し、同盟国と緊密に協議を続けてきたとしたうえで「われわれは今回の件に関与していない。ロシア国内での争いだ」と述べてロシア側が西側諸国の関与があったと主張することは許さないと訴えました。

また、今後、どのような影響が出るのか評価を続けている最中だとする一方「ロシア国内で何が起きようともアメリカは引き続きウクライナの防衛や主権と領土の一体性を支持する」と強調しました。

ホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は記者会見で武装反乱が発生して以降、ロシアに対し、さまざまな外交ルートを通じてアメリカが関与していないことを直接、伝えたと明らかにしました。

そのうえで「アメリカはロシアの体制転換を目指しているわけではない」と強調しました。また、アメリカはプリゴジン氏の所在について把握していないとしています。

岸田首相「G7議長国として高い緊張感を持って対処」

岸田総理大臣は自民党の役員会で「今回の事案が与える影響は、中長期的に大きいとする見方もあり、G7=主要7か国の議長国として、各国と連携しつつ、高い緊張感を持って対処していきたい」と述べました。

また、松野官房長官も閣議のあとの記者会見で「プリゴジン氏やロシアの民間軍事会社、ワグネルの動向をめぐるロシア国内情勢については、引き続き、重大な関心を持って注視していく考えであり、G7=主要7か国をはじめとする同志国と緊密に連携しつつ、適切に対応していく」と述べました。

林外務大臣「日本人の安全確保に万全期す」

林外務大臣は記者会見で「ロシアに滞在する日本人に対し、従来からウクライナとの国境周辺には退避勧告を、そのほかの全土には渡航中止勧告を出していて、商用便による出国の検討を呼びかけている。政府としては、引き続き日本人の安全確保に万全を期す考えだ」と述べました。