“性的マイノリティーの権利は人権だ”全米最大規模のパレード

アメリカで性的マイノリティーの人たちの権利をめぐる議論が活発になる中、ニューヨークでLGBTQなどの人たちが参加して全米で最大規模のパレードが行われました。

このパレードは、性的マイノリティーの人たちへの理解を深めようと、毎年6月にニューヨークのマンハッタンで行われています。

25日に開かれたことしのパレードには、主催者の発表でおよそ7万5000人が参加し、沿道には200万人の観客が集まりました。

参加した人たちは思い思いの衣装を身につけ、性の多様性を象徴するレインボーフラッグを振ったり、「性的マイノリティーの権利は人権だ」と書かれた看板を持つなどして行進していました。

アメリカではことしに入り、多くの州議会に性的マイノリティーの人たちの権利の制限につながる法案が提出されていて、レインボーフラッグが燃やされたり、壊されたりする事件も相次ぎ、各地で警戒感も高まっています。

パレードを見に来ていたバイセクシュアルの女性は「人としてありのままの姿で存在することを許そうとしない人々がいるのは恐ろしい。すべての人が平等だと主張することが大事だと思う」と話していました。

法案の提出相次ぐ レインボーフラッグ燃やされる事件も

アメリカではいま、LGBTQなどの性的マイノリティーの人たちの権利をめぐる議論が活発になっています。背景には、ことしに入り、多くの州で性的マイノリティーの人たちの権利の制限につながる法案が州議会に相次いで提出されていることがあります。

ACLU=アメリカ自由人権協会によりますと、法案の数は491に上り、このなかには未成年者に対する心と体の性を一致させる医療行為を禁止する法案や、性的マイノリティーをテーマにした書籍などを学校の図書館から撤去することにつながる法案などが含まれているということです。

こうした法案の多くは共和党の議員によって提出されていて、法案の数は去年より200以上増えて、過去最多となっています。

政治的な動きが広がる中、アメリカ各地では性的マイノリティーの人たちの象徴とされるレインボーフラッグが燃やされたり、壊されたりする事件が相次いでいます。

1969年、ニューヨーク・マンハッタンで性的マイノリティーの人たちと警察が衝突し、差別の解消を求める運動が広がるきっかけになった場所として知られる「ストーンウォール・イン」の前に掲げられているレインボーフラッグもことしに入り、何度も壊されています。

さらに、これまで10年以上、虹色の柄のシャツなどを販売してきた量販店では、破壊行為や、商品を扱う店舗や従業員への脅迫行為が相次いだことから「従業員の安全が確保できない」として、一部の商品を撤去することを明らかにするなど異例の事態となっています。

性的マイノリティーのコミュニティーへの攻撃ともとれる動きが各地で強まる中、警戒感も高まっています。

今月17日にフロリダ州で行われた性的マイノリティーの人たちへの理解を深めようというパレードでは、事前に登録したQRコードを提示して受け取ることができる参加者専用のリストバンドの着用が徹底されるなど、これまでより厳重な警戒体制が敷かれていました。