拉致被害者家族 “諦めないで” 北朝鮮向けラジオで呼びかけ

北朝鮮に拉致された被害者の家族が、韓国に逃れた脱北者が北朝鮮に向けて放送している短波ラジオの収録に臨み、拉致によって引き裂かれたそれぞれの肉親に向かって「必ず助け出すので絶対に諦めないでほしい」と呼びかけました。

収録は、北朝鮮から韓国に逃れた脱北者が運営し北朝鮮に向けて毎日放送されている短波ラジオ「自由北朝鮮放送」の代表が来日したのに合わせて、都内で行われました。

このうち、1977年、中学1年生の時に拉致された横田めぐみさんの弟で、拉致被害者の家族会代表の横田拓也さんは「めぐみちゃん、体を壊さず元気に暮らしていますか。とても長い間、北朝鮮で自由のない時間を強いてしまい申し訳ありません。私たちは、めぐみちゃんやほかの拉致被害者を全員取り戻すまで絶対に諦めません」と呼びかけました。

また、双子の弟の哲也さんは両親のことに触れ、「おやじは3年前に天国に召されたけど、毎日、めぐみちゃんを救出することを考えていました。母は87歳になり転ぶことが増えてきたけど元気にしています。必ず助け出すので、母と再会することを諦めずとにかく健康でいてください」と語りかけました。

拉致問題をめぐっては、被害者の帰国を待つ家族の高齢化が進んでいて、岸田総理大臣は先月、日朝首脳会談を早期に実現させるため、みずからが直轄するハイレベル協議を始めたいという考えを示しています。

収録のあと、横田拓也さんは「政府は被害者全員を取り戻すまでしっかりした外交を行い、日朝首脳会談を実現させてほしい。キム・ジョンウン(金正恩)総書記がすべての被害者を帰す決断をすることを願っています」と話しました。