政府「能動的サイバー防御」導入へ 有識者会議で法整備を検討

サイバー空間での安全保障を強化するため、政府はシステムに未然にアクセスするなど先手を打って対抗措置をとる「能動的サイバー防御」の導入に向け、新たに有識者会議を設置して必要な法整備の検討を行う方向で調整を進めています。

サイバー空間の安全保障をめぐっては、政府が去年12月に改定した「国家安全保障戦略」で、攻撃をしかけようとする相手のシステムに未然にアクセスするなどして先手を打って対抗措置をとる「能動的サイバー防御」の導入を明記したことを受け、ことし4月に自民党が、有識者会議を設置して検討を行うことなどを岸田総理大臣に提言しました。

これを受けて政府は、ことしの夏以降に新たに有識者会議を設置して必要な法整備の検討を行う方向で調整を進めています。

具体的には、攻撃が疑われるシステムにアクセスして未然に無害化できる権限を政府に付与することや、悪用が疑われるサーバーを検知するため、国内の通信事業者の情報を活用することなどが検討される見通しです。

ただ、こうした案に対しては、憲法が保障する「通信の秘密」の規定と整合性をとるため、例外規定を設ける必要があるという指摘があるほか、「専守防衛」の概念から逸脱するのではないかという懸念もあることから、政府は専門家の意見も聞きながら、慎重に検討を進める方針です。