官民ファンドの産業革新投資機構 半導体素材大手のJSRを買収へ

官民ファンドの産業革新投資機構は、半導体素材大手のJSRを買収する方針を固めました。買収にあたって投じる資金はあわせて1兆円規模になる見込みで、株式の上場を廃止して半導体事業への集中的な投資や事業再編をやりやすくし、国際的な競争力を高めるねらいがあります。

関係者によりますと、産業革新投資機構はJSRに対し、年内にもTOB=株式の公開買い付けを行って買収する方針で、手続きが順調に進めばJSRは来年中にも上場廃止となる見込みです。

JSRは東証の最上位のプライム市場に上場していて「フォトレジスト」という半導体の製造に欠かせない材料では世界シェアがトップクラスです。

機構はJSRの非上場化によって半導体事業への集中的な投資や事業再編をやりやすくし、国際的な競争力を高めるねらいがあります。

TOBにあたっては機構がおよそ5000億円を出資するほか、みずほ銀行がおよそ4000億円を融資するなどして、あわせて1兆円規模の資金を投じることにしています。

経済産業省が6月に公表した国内の半導体産業などの強化に向けた新たな戦略では、先端半導体の技術開発を加速させ2030年には国内の関連事業の売上を今の3倍程度の15兆円に拡大させる目標を掲げていて、国をあげて半導体のサプライチェーン=供給網の強じん化をはかるとしています。

JSR “決定している事実はない”

これについてJSRは、「当社が本件を検討していることは事実ですが本日現在、決定している事実はございません。本件は、今月26日開催の取締役会に付議する予定であり当社として開示すべき事項が生じた場合には、速やかに公表いたします」というコメントを発表しました。