沖縄戦 戦没者の遺骨 DNA鑑定の結果46人分は女性 住民の可能性

太平洋戦争末期の沖縄戦で亡くなった戦没者の遺骨について、国が6年前からDNA鑑定を行った遺骨のうち46人分は女性で、うち1人は子どもだったことがわかりました。専門家は「遺骨は住民のものである可能性が高く、多くの住民が巻き込まれた沖縄戦の実態を明らかにする手がかりになるのではないか」と話しています。

沖縄戦の戦没者の遺骨は、これまで18万7500人余りが見つかっていますが、ほとんどの遺骨は身元が特定されていません。

厚生労働省は当初、身元の手がかりとなる遺留品や証言があるものに限ってDNA鑑定を行っていましたが、2016年度以降は段階的に対象を拡大し、現在は遺留品などがない場合でも、遺族の申請があれば鑑定しています。

こうした中、昨年度までの6年間に国が鑑定した、およそ600人分の遺骨のうち46人分が女性で、うち1人は子どもだったことが厚生労働省への取材でわかりました。

国の鑑定の結果、これまでに身元が特定され遺族に返された遺骨は、いずれも男性の6人分にとどまっていて、厚生労働省は身元の特定に向けて引き続き鑑定を進めるということです。

沖縄戦を研究している大阪大学大学院の北村毅教授は「沖縄戦の戦場で亡くなった女性の遺骨となると、住民のものである可能性が高い。80年近くたっても沖縄戦の戦没者の多くは誰がどこで亡くなったかもわかっておらず、今回の結果は、DNA鑑定の技術を通じて、多くの住民が巻き込まれた地上戦となった沖縄戦の実態を明らかにすることにつながるのではないか」と話しています。