マイナンバーカード問題 “すべてのデータ総点検” 首相指示

マイナンバーカードをめぐる問題が後を絶たないことを受けて、政府は新たな対策本部を設け初会合を開きました。岸田総理大臣は、ことしの秋までをめどに、カードの取得者向けの専用サイトで閲覧可能な、すべてのデータを総点検することなどを指示しました。

省庁横断の新たな対策本部「マイナンバー情報総点検本部」は、河野デジタル大臣をトップとして、厚生労働省や総務省などを中心に発足し、21日に岸田総理大臣も出席して初会合を開きました。

この中で、岸田総理大臣は、
▽データやシステムの総点検や、
▽新たな誤り事案が生じないようにするための仕組みづくり、
それに、
▽国民の不安払しょくのための丁寧な対応を政府全体で強力に推進するという3つの基本方針のもと、対策の強化を急ぐよう指示しました。

また、河野デジタル大臣に対しては、ことし秋までをめどに、
▽マイナンバーカードの取得者向けの専用サイト「マイナポータル」で閲覧可能なすべてのデータの総点検を行うことや、
▽マイナンバーを本人と照合する際は、氏名、住所、性別、生年月日の、4つの情報を使うことを義務づけるなど、
必要な政省令の見直しを行うことを指示しました。

岸田総理大臣は「デジタル社会への移行には、国民の信頼が不可欠だ。政府を挙げてコロナ対応並みの臨戦態勢で国民のマイナンバー制度に対する信頼を1日も早く回復するべく、政府、地方自治体、関係機関一丸となって全力を尽くしてほしい」と述べました。

「マイナンバー情報総点検本部」での点検・調査内容

「マイナンバー情報総点検本部」は、河野デジタル大臣をトップとして厚生労働省や総務省などを中心に発足しました。

マイナンバーカードをめぐっては、一体化した健康保険証に他人の情報が登録されたり、別の人の障害者手帳の情報がひも付けられたりしたケースが確認されるなど問題が相次いでいます。

このため、マイナンバーカードの取得者向けの専用サイト「マイナポータル」で閲覧することができる税や健康保険証、住民票の情報など29の項目について、マイナンバーへのひも付けが正確に行われているかを点検することにしています。

具体的には、ひも付けを行う機関に対し、来月中に、
▽利用者などからのマイナンバーの届け出を義務化しているかどうかや、
▽届け出がない場合にマイナンバーをどのように取得しているか、
それに、
▽マイナンバーを本人の情報と照合する際に氏名、住所、性別、生年月日のうち、何種類の情報を確認したかを調査します。

そのうえで、問題があるケースについては、すべてのデータを点検して誤った登録を修正するほか、情報漏えいが起きていないか調査を行い、ことし秋までに公表するとしています。

また、再発の防止に向けてはマイナンバーとのひも付けを行う機関で本人かどうか照合する際に、マイナンバーの記載を義務づけることや、データを機械的に照合するシステムの整備などを検討するということです。

立民 泉代表“トラブルの中で保険証廃止はむちゃくちゃ”

立憲民主党の泉代表は、記者団に対し「これだけトラブルが起きている中で、現行の健康保険証を廃止するのはむちゃくちゃで、国民が不安を感じている中でのマイナンバーカードへの統合は性急すぎる。当面は健康保険証の選択肢を残すことが正しい政策だと訴えていきたい」と述べました。

日本医師会 松本会長“国にはデータの正確性確保に全力を”

日本医師会の松本会長は「マイナンバーカードと一体化した健康保険証を国民に安心して利用してもらうためには、信頼性を高めることが最も重要で、国などには、データの正確性の確保に全力で取り組んでもらいたい。また、問題や疑問が生じた際の相談窓口の拡充も強く要望したい」と述べました。