元経済同友会代表幹事 牛尾治朗氏 死去 政財界パイプ役果たす

経済同友会の代表幹事を務め、長年にわたって政界と経済界とのパイプ役を果たしてきた牛尾治朗氏が、今月13日に肺炎のため亡くなりました。92歳でした。

牛尾氏は兵庫県姫路市出身で、昭和28年に当時の東京銀行に入ったあと、昭和39年にウシオ電機を設立し、3年前に会長を退任するまで50年以上にわたって社長や会長として経営を担いました。

また、平成7年から4年間、経済同友会の代表幹事を務めて、官主導から民間が主導する経済への転換を訴えるなど、政府の経済政策に対して積極的に発言してきました。

平成13年には中央省庁の再編に伴って設置された経済財政諮問会議の民間議員を務め、当時の小泉政権のもとで郵政民営化や道路公団改革の必要性を訴えて、構造改革を推進する役割を果たしました。

4年前に亡くなった中曽根康弘・元総理大臣をはじめ政界にも幅広い人脈を持ち、長年にわたって政界と経済界とのパイプ役を果たしてきたことでも知られています。

このほか、KDDIの会長を務めたほか、郵政民営化に伴って発足した日本郵政の取締役なども務め、経済界を代表する財界人として幅広い分野で活動を続けてきました。

牛尾氏は、3年前にウシオ電機の会長を退任し、名誉相談役に就任していましたが、今月13日に肺炎のため亡くなりました。

経済同友会 新浪代表幹事「輝かしい1つの時代築かれた」

牛尾治朗氏が亡くなったことについて、経済同友会の新浪代表幹事がコメントを発表しました。

この中で、「牛尾元代表幹事は国内でバブル経済が崩壊し、日本固有の経済システムが大変革を迫られていた時代に危機感と改革への強い決意を持って『世界への参画』と『市場の再設計』を軸に日本経済の再生を唱えられた。また、民間活力を引き出すための当時の橋本政権の構造改革を積極的に支持し、強力に後押しされた」としています。

また、「牛尾元代表幹事が示した『相互依存体質から脱却し、みずからの意志と責任で創造的な経営を行うべき』といった市場主義は、経済同友会にとって新しい歴史の始まりを象徴したコンセプトで、経済同友会の歴史に輝かしい1つの時代を築かれた。人との出会いやご縁を大切にされることの重要性を説かれ、人間的魅力あふれるからこそ、経済界や政界を超え、世代を超えて、多くの方々に慕われ愛されていたのだと思う。心からのご冥福をお祈り申し上げる」としています。