奄美大島で記録的大雨 断水の地域も 22日明け方にかけ厳重警戒

梅雨前線の影響で、鹿児島県の奄美大島では記録的な大雨になっていて、瀬戸内町では多くの世帯で断水が続いています。奄美地方では、22日明け方にかけて激しい雨が降るおそれがあり、土砂災害に厳重に警戒してください。

名瀬測候所によりますと、梅雨前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込んでいる影響で、奄美大島には20日夜から発達した雨雲が断続的にかかっています。

奄美大島の古仁屋では今月16日の降り始めから21日午後4時までの雨量が543.5ミリとなり、平年の6月・1か月分のおよそ1.4倍に達しています。

また、21日午後2時までの24時間の雨量は405ミリと、6月としては観測史上、最も多くなり、記録的な大雨になっています。

この大雨で奄美大島の各地で被害が出ています。

瀬戸内町では午後6時現在、およそ4000世帯が暮らす古仁屋地区の広い範囲で断水が続いています。復旧には時間がかかる可能性があるということです。

また、宇検村では、崖崩れや冠水の影響で県道の4か所などが通行止めとなり、▽平田、▽阿室、▽屋鈍、▽部連、▽名柄、▽佐念の、6つの集落で合わせて228世帯365人が孤立状態になっているということです。

村によりますと、解消のめどはたっていませんが、いずれの集落の住民とも連絡は取れているということです。

午後5時半現在、奄美大島では奄美市、大和村、宇検村の合わせて809世帯、1302人に避難指示が出されています。

奄美地方では22日明け方にかけて、局地的に雷を伴って激しい雨が降るおそれがあります。

これまでの大雨ですでに地盤が緩んだり、川が増水したりしていて、少ない雨でも災害が発生する危険があります。

土砂災害への厳重な警戒を続けるとともに、川の増水や低地の浸水にも警戒してください。

宇検村 役場も一部浸水

崖崩れなどで複数の県道などが通れなくなり、6つの集落で228世帯365人が孤立状態となっている宇検村では、役場の職員たちが情報の収集や復旧作業の調整などに追われていました。

また、村役場では20日夜、役場に隣接する山から水が流れ込み、1階の一部が浸水していて、21日も土のうやほうきが置かれたままになっていました。

宇検村役場総務課の俊岡秀人さんは「これ以上雨が降らないか本当に心配です。少しでも早く孤立状態が解消できるよう調整を行っていきます」と話していました。

瀬戸内町 自衛隊が給水活動

瀬戸内町で商店を経営する栄田新次さんは、「朝、水が出ないことに気がつきました。トイレはためている水を使うなどして対応しています」と話していました。

町内では自衛隊が給水活動を行っていて、「きゅら島交流館」では陸上自衛隊の瀬戸内分屯地と奄美駐屯地の隊員らが、住民が持ってきたポリタンクやペットボトルに水を入れていました。

60代の男性は、「朝起きた時には水が出ない状態でした。スーパーに行っても水が売り切れだったので、給水は助かります」と話していました。

宇検村 孤立状態の集落で停電 自家発電機と保管食料で

大雨の影響で孤立状態になっている宇検村の屋鈍集落では、土砂や大きな木の枝などが散乱しているということです。

住民によりますと、集落は停電しているものの、避難所には自家発電機があるため電気が使えるほか、これまでの台風などの経験から、多くの住民が1週間分の食料を冷凍庫で保存しているということです。

ただ、住民は「食料はありますが、停電しているので冷凍庫が使える時間にも限界があります。できるだけ早く道路や電気が復旧してほしい」と話していました。

奄美市 中学校の校庭 水につかり池のように

大雨となっている奄美市住用町では住用中学校の校庭が水につかり、池のようになっていました。

また、瀬戸内町方面に向かう国道58号線では、住民が道路に流れ出た土砂を撤去する作業に追われていました。

このほか、町内を流れる住用川はふだんより水位が増し、流れも早くなっていました。

建設会社を営む三浦和美さんの自宅では、山から流れてきた水で、自宅前の道路が10センチほど冠水したということです。

三浦さんは「20日の午後4時ぐらいから激しい雨の音がしたので、社員に帰宅するよう指示しました。住用川の水位がどこまで上がるのか怖いです」と話していました。

宇検村 22日は漁船で通学も検討

道路の通行止めの影響で孤立状態になっている宇検村の阿室小中学校では停電が続き、周辺の阿室川からも一時、水があふれていたということです。

学校は21日は休校していて、22日以降、通行止めが続いた場合は休校にするか、漁船で通学してもらうことを検討しているということです。

阿室小中学校の山内啓二教頭は「けさは住民が学校に避難していました。停電や道路の通行止めが続いているなかで、雨がさらに降り続くと、食料などの影響が心配です」と話していました。

大和村 小学校前の道路冠水で休校

大和村名音にある名音小学校によりますと、21日午前9時ごろ、裏山から水が流れ込み、学校前の道路が冠水したということです。

一時、高さ30センチほどまで水がたまって、通学できなくなったことから、21日は休校にしたということです。