DeNA 交流戦で初優勝 楽天が敗れ得失点率の差で【要因解説も】

プロ野球の交流戦は、優勝の可能性を残していた5位の楽天が、20日夜、神宮球場で行われた試合で、ヤクルトに0対13で敗れました。この結果、得失点率の差で、DeNAが18回目の交流戦で初めての優勝を決めました。

記事後半では「DeNA初優勝の要因」を担当記者が解説します。

今シーズンの交流戦は、19日の試合でDeNAが敗れて、11勝7敗で、DeNA、巨人、オリックス、ソフトバンクの4チームが並ぶ混戦となっていました。

3チーム以上が勝率や勝利数で並んだ場合は、得失点率の差で優勝が決められることになっていて、4チームの中で得失点率差でトップのDeNAと、2試合を残して9勝7敗だった楽天に優勝の可能性がありました。

楽天は20日夜、神宮球場でヤクルトと対戦し、先発の藤平尚真投手が、1回に2本のホームランで5点を失うなど、投手陣が大量失点を喫し、打線もわずか2安打に抑えられ、0対13で敗れました。

この結果、楽天の優勝の可能性がなくなり、DeNAが18回目の交流戦で初めての優勝を決めました。

得失点差率によって優勝が決まるのは、2011年に交流戦で導入されて以降、初めてです。

三浦監督「チームが一丸となり戦った結果」

交流戦初優勝が決まったDeNAの三浦大輔監督は「球団初となる交流戦での優勝、そして交流戦の歴史にベイスターズの名を残すことができ誇りに思います。チームが一丸となり戦った結果だと思います」とコメントしています。

キャプテンの佐野恵太選手は「優勝ができてうれしく思います。まだまだシーズンは続くのでリーグ優勝を目指してチーム一丸となって戦って行きたいと思います」とコメントしています。

【DeNA 初優勝の要因は?(担当記者が解説)】

18回目の交流戦で初めての優勝を果たしたDeNA。その要因を担当記者が読み解きます。

ポイントは2つ「先発投手陣の安定感」と「持ち味を発揮した打撃陣」です。

先発投手陣の安定感

セ・リーグ2位で交流戦に入ったDeNAは、初戦となった先月30日の楽天戦で先発の今永昇太投手が9回を2失点にまとめて完投すると、そこから先発投手陣が安定した投球を見せました。

今永昇太投手

交流戦11勝のうち、先発投手に勝ちがついた試合は9試合。残り2勝をあげた試合も先発投手が5回まで試合をつくったことで、逆転勝利を呼び込みました。

中でも今永投手と今シーズン加入したトレバー・バウアー投手の好投が光りました。

今永投手は交流戦2勝負けなし。力のある150キロ台のストレートとキレのある落ちる変化球を武器に24イニングを投げて防御率は1.88でした。

バウアー投手

さらに、バウアー投手は3勝負けなし、24イニングを投げて防御率は1.50。
31個の三振を奪いました。

大リーグでサイ・ヤング賞に輝くなど実績十分のバウアー投手は日本での初登板から3試合目までは高めのストレートと変化球が主体という大リーグ時代のようなピッチングの組み立てで、3試合目までに投げたストレートのうち58%を占めていた高めのストレートを狙い打たれるケースが多く見られました。

伊藤光選手とバウアー投手

このため、バウアー投手は首脳陣やチームのデータ班、それにキャッチャーの伊藤光選手などと日本の野球に対応できるよう対策を検討し、低めのストレートも使っていくことにしました。

その結果、初登板から3試合目まで8%しかなかった低めのストレートがその後の交流戦を含む4試合では19%に増えました。

この結果、ストライクゾーンを広く使うことができるようになったことで、空振りを奪えるようになり、好成績につながりました。

持ち味を発揮した打撃陣

打撃陣では、4番の牧秀悟選手とセ・リーグで打率トップの宮崎敏郎選手がチームをけん引しました。

牧選手は、負ければ優勝を逃す可能性があった今月18日のロッテ戦で先発の佐々木朗希投手から
▽第1打席は160キロのストレートをツーベースヒット
▽第2打席は146キロのフォークをレフト前に運んでタイムリー
▽第3打席は144キロのスライダーをはじき返し、勝ち越しのタイムリースリーベース。

佐々木投手の持つすべての球種を打ち、4番の仕事を果たしました。

宮崎選手も勝負強い打撃をみせたほか、状況に応じて2塁ランナーを3塁に進めるためにセカンドゴロを打って進塁させるなど、献身的なプレーでチームの勝利に貢献しました。