“地域の大学が強みを” 科学技術・イノベーション白書

ことしの科学技術・イノベーション白書が20日閣議決定され、自治体や企業と連携して経済の活性化や社会課題の解決に取り組む地域の大学の事例などを紹介し、日本の研究力の底上げには地域の大学が強みを伸ばすことが重要だとしています。

ことしの「科学技術・イノベーション白書」では、政府の政策方針を踏まえて、地域から始まる科学技術・イノベーションに関する特集を組んでいます。

このなかでは、少子高齢化に伴う人口減少や経済の縮小などの課題を指摘する一方で、科学技術の発展により情報へのアクセスが可能になり、地方でもさまざまな研究成果やスタートアップ企業が生まれているとしています。

具体的には、自治体や企業と連携して経済の活性化や社会課題の解決に取り組む大学や高等専門学校の事例を紹介していて、このうち山形県鶴岡市では、行政の支援のもとで慶応大学の研究所を中心としたサイエンスパークが形成され、生命科学関連のスタートアップ企業が誕生して新しい技術や製品が生み出されているほか、進学で地元を離れた大学生が就職を機に戻る動きも見られるとしています。

これらを踏まえたうえで、諸外国と比較して相対的に低下している状況にある日本の研究力の底上げのためには、「大学ファンド」と呼ばれる10兆円規模の基金を活用した世界トップレベルの研究大学の実現とあわせて、地域の大学が強みを伸ばし多様な研究を行うことが重要だとして、政府として取り組みを進めるとしています。