陸自ヘリ事故「葬送式」岸田首相が弔辞 “隊員失い痛手 無念”

ことし4月に沖縄県の宮古島沖で起きた陸上自衛隊のヘリコプターの事故で亡くなった10人の隊員の「葬送式」が熊本市の駐屯地で営まれ、岸田総理大臣は、隊員を失ったことは、わが国にとって大きな痛手で、無念でならないなどと弔辞を述べました。

ことし4月、沖縄県の宮古島沖で起きた陸上自衛隊のヘリコプターの事故では、当時の第8師団長の坂本雄一陸将(55)など乗っていた隊員6人が死亡したほか、行方がわかっていない4人についても死亡したと判断されています。

熊本市東区にある陸上自衛隊の健軍駐屯地で営まれた「葬送式」には、亡くなった隊員の遺族のほか、岸田総理大臣や浜田防衛大臣など関係者が参列しました。

式は非公開で行われ、岸田総理大臣は、「きょう、この日を迎えることとなったことは痛恨の極みだ。国防の任を全うした隊員の皆さんに、心より敬意と感謝の意を表する」と述べました。

そして、「南西防衛の要衝で、強い覚悟と責任感をもって職務の遂行に全身全霊をささげていた隊員を失ったことは、わが国にとって大きな痛手であり、無念でならない。愛するご家族を失われた、ご遺族の皆様の深い悲しみを思うと、胸塞がる思いを禁じえない」と、隊員の死を悼みました。

そのうえで、「遺志を受け継ぎ、国民の命と暮らしを断固として守り抜き、世界と地域の平和と安定に貢献するために全力を尽くすことを、自衛隊の最高指揮官として、改めてここに誓う」と述べました。

今回の事故では、陸上自衛隊の航空機の事故としては、これまでで最も多くの隊員が死亡しました。

陸上自衛隊は、回収した機体の調査やフライトレコーダーの解析を行って、事故原因の究明を進めています。

熊本県 蒲島知事も参列

「葬送式」に参列した熊本県の蒲島知事は「遺族の中には小さな子もいて、いたたまれない気持ちになったが、国や自衛隊がケアしていくと聞いて安心しました」と述べました。

そのうえで、蒲島知事は「亡くなった坂本前師団長は、事故の前に『県と自衛隊で一緒に頑張っていきましょう』と約束してくれ、私にとっても頼もしい師団長でした。本当に残念です。国を守るという高い希望を果たすことができず、ご本人がいちばん悔しいと思います」と話していました。