性犯罪の刑法改正“同意のない性行為許されない”被害者の思い

性犯罪の規定を大幅に見直す刑法などの改正案が、16日の参議院本会議で全会一致で可決・成立しました。

今回の法改正は、「同意のない性的な行為は許されない」と訴えてきた被害者たちの悲願でした。

13歳から7年間、父親から性暴力を受けた山本潤さん(49)は、15年前から、顔と名前を明らかにして講演などを行い、性被害の実態を伝えています。

同意のない性的な行為でも事件化されないケースが多くある現状を変えたいと、2017年に性暴力の被害当事者の団体を結成。

被害者にアンケート調査を行っておよそ6000件の回答から、暴行や脅迫を受けていなくても恐怖で体が動かず、抵抗できないといった実態を明らかにし、「不同意性交罪」の導入を訴えてきました。

こうした中、各地で性暴力事件の無罪判決が相次ぎ、抗議活動のフラワーデモが広がります。

「#MeToo」の世界的な動きもあって、当事者たちが少しずつ声をあげ始めたのです。

機運が高まり、法改正の議論が動き出すと、山本さんは法制審議会の部会の委員に当事者として初めて選ばれ、被害者の思いを国に届けてきました。

改正法案の採決を迎えた16日、「すごく重くて分厚い扉をみんなで押してきた」という仲間とともに参議院の本会議を傍聴し、全会一致で成立した瞬間には、手を取り合って喜んでいました。

山本さんは「大きな犠牲を払いながら声をあげてくれた人たちと、その声を聞いてくれた人たちがいて、社会の変化につながったと思います。今回の法改正がさらなる前進につながってほしいです」と話していました。