ベトナム戦争 米機密文書 告発の男性死去

1971年にベトナム戦争の内実を記録したアメリカ国防総省の機密文書、いわゆる「ペンタゴン・ペーパーズ」をメディアに告発し、一連の経緯が映画の題材にもなったダニエル・エルズバーグさんが亡くなりました。92歳でした。

ダニエル・エルズバーグさんはベトナム戦争当時、アメリカのシンクタンクや国防総省、国務省に勤務し、アメリカの歴代政権が戦況などに関する事実を国民に隠しながら戦争を拡大させたとして、戦争の内実を記録した国防総省の7000ページにわたる機密文書をアメリカのメディアに告発しました。

機密文書は「ペンタゴン・ペーパーズ」と呼ばれて公表され、泥沼化していたベトナム戦争に対する反戦運動が高まるきっかけにもなりました。

エルズバーグさんはスパイ行為などの罪で起訴されましたが、その後、公訴は棄却され、一連の経緯は、映画の題材にもなりました。

機密文書を報じたニューヨーク・タイムズは今回、死去を伝える記事のなかで「エルズバーグさんはベトナム戦争におけるアメリカの欺まんに心を痛め、接触してきた。その後、公開された資料は全米を揺るがすことになった」と当時の様子を伝えています。

エルズバーグさんの家族の発表によりますと、16日、エルズバーグさんはすい臓がんのためカリフォルニア州の自宅で亡くなったということです。

92歳でした。