商業用不動産に多額融資 銀行経営へのリスク注視 アメリカ

アメリカのイエレン財務長官が議長を務める「金融安定監視委員会」が開かれ、在宅勤務の定着によって賃料収入が悪化している商業用不動産をめぐって多額の融資を行っている銀行の経営状況を注意深く監視していくことを確認しました。

この委員会は2008年の金融危機を教訓に成立した法律に基づいて設置され、議長を務めるイエレン財務長官が16日招集し、中央銀行にあたるFRB=連邦準備制度理事会のパウエル議長などが出席しました。

会議ではコロナ禍以降、在宅勤務が定着したことで賃料収入が悪化している商業用不動産について、特にオフィスなどで空室率が高くなっていることや、小規模の銀行が多額の融資を行っている現状が報告されました。

その上で金融規制当局はリスク管理を重視し、融資の実態について調査を進めるなど銀行の経営状況を注意深く監視していくことを確認しました。

商業用不動産をめぐっては、パウエル議長も14日、「かなり多くの銀行が商業用不動産に融資していて、大きな損失を被る銀行もあるだろう」と述べるなど、相次いだ銀行破綻でいまもくすぶる金融不安を再燃させるおそれがあるとして警戒が続いています。