あなたはもう体験?エンタメ業界で話題“イマーシブ”【動画】

時には、誰もが知っているあの名画の中の世界を体験。またある時には殺人事件を解明するミステリー劇の登場人物に…。そんな、まるで夢の中にいるかのような体験をできるイマーシブ=没入型のイベントや施設がいま、続々と登場しています。

イマーシブ=「没入感」

イマーシブは英語で「没入感」を意味することばです。

進化したデジタル技術を活用することで、絵や物語の世界に入り込んだかのような体験を演出できると注目され、このところ美術展や遊園地などで新たな体験型のサービスとして取り入れられています。
このうち、福岡市の商業施設ではプロジェクションマッピングなどを使って、名画に没入する体験を楽しんでもらおうという美術展を開いていて、若い女性やカップルでにぎわっています。

まるで名画の中にいるような…

ここでは印象派を代表する画家で、フランスの巨匠、クロード・モネの「睡蓮」などの作品、およそ80点の映像が、音楽や照明とともに壁や床一面に映し出されます。

訪れた人たちはあたかも絵の中に入り込んだような体験ができ、写真を撮ったり、クッションに座って友人とゆっくり話したりしながら映像を楽しめます。

体験した人に感想を聞いてみると…。
20代女性「ふだん美術館に行くことはないですが、きれいで現実とは違う世界観がありとても楽しかったです」
美術展を主催 福岡ソフトバンクホークス 広報 田中美帆さん
美術展を主催する福岡ソフトバンクホークスの田中美帆さんは「これまで美術に関心がなかった人たちにも興味を持ってもらえています。最新の技術によって違った視点で絵を見ることができるので、自分の感性を引き出してくれるミュージアムだと思います」と話しています。

レストランがミステリー劇の舞台に!

一方、埼玉県所沢市の遊園地では、5月からイマーシブを取り入れたレストランも登場しています。

食堂車を再現したこのレストランでは、客が食事を楽しんでいる最中に列車の中で起きた殺人事件を解明するミステリー劇が始まります。
客は劇の登場人物から話しかけられたり、事件後には容疑をかけられたりします。

また、物語の展開にあわせて、車窓の映像や照明もリアルに変化し、客は登場人物の1人として、事件に巻き込まれたかのような感覚を体験できます。
レストランを訪れた女性は「本当に劇場の中の登場人物になったみたいで、すごくのめりこみました」と話していました。

こうした体験型の演劇は「イマーシブ・シアター」と呼ばれ、アメリカ・ニューヨークのブロードウェイをはじめ、海外で人気が高まっています。

遊園地を運営する会社は、こうした演出を新たな集客の手段として活用したい考えです。
西武園ゆうえんちの運営会社 高橋亜利 支配人
西武園ゆうえんちの運営会社の高橋亜利支配人は「みなさんが同じ体験を同時にするのではなく、一人一人が違う体験ができる。この世界観に没入してもらえることで、より集客につながり、みなさんに何度も楽しんでいただけるコンテンツになっていると思います」と話しています。

専門家「最新技術の活用が成長のカギ」

エンターテインメント産業に詳しい専門家は、「イマーシブ」などの最新技術の活用が市場の成長のカギを握るとみています。
金沢工業大学虎ノ門大学院の北谷賢司教授は「イマーシブをはじめとしたこの数年間の技術的な進歩がエンターテインメント業界に大きな影響を与えている。産業規模は今後拡大していくだろう」と話しています。

そのうえで「VR=仮想現実やAR=拡張現実のほか、手触りや感触を再現する技術や3Dのプロジェクションマッピングなどの技術を融合させることで人間の感性を刺激する体験ができるようになった。トレンドが“没入型”にシフトしてきているため、対応できなければ、市場から取り残されてしまう可能性もある」と指摘しました。

さらに「これまで日本のコンテンツは、国内市場だけをみて展開してきたが、人口減少に直面する中、海外の市場を開拓しなければ産業そのものが縮小してしまう。日本のクリエーターがイマーシブの技術を身につけるとともに海外の人々の好みも理解し、新しい産業として育成していくことが必要だ」と述べました。