「京アニ」放火事件 亡くなったアニメーターの遺族が講演

「京都アニメーション」のスタジオが放火され、社員36人が死亡した事件は、7月で発生から4年となり、裁判がことし9月から始まります。
これを前に15日、亡くなったアニメーターの遺族が京都市内で講演し、「今も娘のことが頭に浮かぶ」と心境を語りました。

「京都アニメーション」のスタジオが放火され、社員36人が死亡した事件は、7月で発生から4年となり、殺人などの罪で起訴された青葉真司被告(45)の裁判員裁判は、ことし9月から始まります。

これを前に、事件で亡くなったアニメーター、渡邊美希子さん(当時35歳)の母親の達子さん(72)と兄の勇さん(44)の2人が15日、京都市内で講演しました。

警察や行政、それに犯罪被害者支援団体の担当者など、およそ170人が参加し、達子さんは、「子どもがいなくなるというのは、ここまでしんどいのかと思う。何かに集中している時以外は真っ先に娘のことが頭に浮かぶ、そんな4年間を過ごしている」と心境を語りました。

また勇さんは、事件のあと体調不良が続きましたが、カウンセリングを受けて症状がおさまったことを紹介したうえで、「事件直後にも被害者支援の一環としてカウンセリングを紹介されたが、受ける気持ちになれなかった」と話し、自分のケースを、今後の被害者支援に役立ててほしいと訴えました。

母親「ふとした瞬間に話しかけている自分がいる」

達子さんと勇さんの2人は講演のあと報道陣の取材に応じ、達子さんは来月で事件から4年となることについて、「ふとした瞬間に『ねえ美希子』と話しかけている自分がいて、事件から何の変化もありません。死ぬまできっと変わらないと思う」と話していました。

勇さんは「二度とこのような事件が起きてほしくないのはもちろんだが、被害者支援を通じて、少しでも救いにつなげていってほしい」と話していました。