映画監督 中島貞夫さん死去 88歳「893愚連隊」など手がける

「893(やくざ)愚連隊」などの仁きょう映画や、実話を基に描く「実録映画」を数多く手がけたことで知られる、映画監督の中島貞夫さんが、今月11日、肺炎のため京都市内の病院で亡くなりました。88歳でした。

中島さんは千葉県出身で、東京大学を卒業したあと映画会社の東映に入社し、京都撮影所に配属されて、1964年に「くノ一忍法」で映画監督としてデビューしました。

1966年には松方弘樹さんが主演を務めた仁きょう映画「893愚連隊」で日本映画監督協会新人賞を受賞して評価を高め、その後は「日本暗殺秘録」や、「日本の首領」シリーズなどの、実話を基に描く「実録映画」を数多く手がけました。

5年前、20年ぶりにメガホンを取り話題となった時代劇「多十郎殉愛記」が遺作となりました。

大阪芸術大学などで教べんをとり、後進の映画監督の育成にも積極的に取り組んだほか、京都国際映画祭の実行委員長を務めるなど、映画界の発展に尽力しました。

東映によりますと、中島さんは今月11日、肺炎のため京都市内の病院で亡くなったということです。88歳でした。

中島監督の作品に出演 俳優らがコメント

映画監督の中島貞夫さんの死去を受けて、作品に出演していた俳優たちが映画会社を通じてコメントを出しました。

「極道の妻たち」岩下志麻さん

「極道の妻たち」のシリーズに出演した俳優の岩下志麻さんは「いつも優しく、あまりおこったお姿を拝見したことがない、温かな監督さんでした。ありがとうございました。心から御冥福を御祈り申し上げます」とコメントしています。

映画「暴動島根刑務所」など 北大路欣也さん

映画「暴動島根刑務所」や「犬笛」に出演した俳優の北大路欣也さんは「撮影現場では、映画づくりの凄まじい魂をぶつけられました。今もその波動は消えていません。感謝の想いで 合掌」とコメントしています。

映画「序の舞」など 名取裕子さん

映画「序の舞」や「女帝 春日局」に出演した俳優の名取裕子さんは「男性社会の壁を破ろうとする芯の強い女性をフィルムに残してくださいました。博識でどんな質問にもよどみなくお答えくださり映画にかける情熱が80歳を超えても燃えている映画監督でした。監督と出会えたことに感謝いたします。天国でもあのキラキラした眼差しで皆を見守ってください」とコメントしました。

遺作となった時代劇に出演 高良健吾さん

中島監督の遺作となった時代劇に出演した俳優の高良健吾さんは「中島さんの現場での言葉の重みはとにかく深くて。シンプルで。一言の演出が、役を深くしていく経験は初めてでした。中島さんの映画に向き合う力を近くで感じる事ができた僕は幸せです。中島さんと過ごした時間、残してきたものは忘れません。大切にします。きょうも中島さんから頂いた椅子に座ってタバコを吸っています。中島さん。ゆっくりしてくださいね。ありがとうございました」などとコメントしています。