カナダ政府 中国主導のAIIBの取引 ただちに停止する方針

カナダ政府は、中国が主導するAIIB=アジアインフラ投資銀行について、カナダ政府主導の取引をただちに停止する方針を明らかにしました。

カナダのフリーランド副首相兼財務相は14日、記者団に対し、中国が主導するAIIB=アジアインフラ投資銀行におけるカナダ政府主導の取引をただちに停止する方針を明らかにしました。

取引を停止する理由についてフリーランド氏は、AIIBに勤めていたカナダ人の職員がAIIBの業務に深刻な懸念を示し、辞任したことをあげました。

そのうえで、AIIBの業務にカナダが、いかに関与にしているかについて、財務省に調査するよう指示したことを明らかにしました。

フリーランド氏は、懸念を示したという人物について直接言及しませんでしたが、AIIBの幹部を発表の直前に辞任したカナダ人の男性は、「この銀行は共産党員によって支配されており、考えられるかぎり最も有害な文化の1つを持っている。我が国の利益がAIIBへの加盟によって満たされるとは信じていない」とツイッターに投稿していました。

フリーランド氏 “AIIBの脱退も示唆”

フリーランド氏は、「AIIBへの調査は迅速に実施されるもので、調査の完了後、いかなる結果も排除するつもりはない」として、AIIBの脱退も示唆しています。

AIIB “カナダ人男性の発言 根拠なく失望”

AIIBは、辞任したカナダ人男性の発言について「根拠がなく失望している」として事案を調査するという声明を発表しました。

中国大使館「センセーショナルな誇大宣伝で真っ赤なうそ」

カナダにある中国大使館は、これに関する記者の質問に対して「センセーショナルな誇大宣伝で、真っ赤なうそだ」とした上で、「AIIBの重要なメンバーとして中国は常に多国間のルールと手続きに従ってきた」と反論しました。

「アジアインフラ投資銀行」とは

AIIB=アジアインフラ投資銀行は、日米が主導するADB=アジア開発銀行などに対抗する形で中国が主導して2015年12月に設立され、本部は北京にあります。

加盟を承認された国・地域は当初57でしたが、これまでにアフリカやヨーロッパなども含め、106に増えました。

G7からもアメリカと日本を除く5か国が参加していて、カナダは2018年に加盟しています。

AIIBをめぐっては、国際的な金融機関とされていますが議決権の4分の1以上は中国が握っていることから、運営には習近平指導部の意向が反映されているのではないかという指摘もあります。