ドイツ 初の安保戦略を公表“ロシアは最大の脅威 中国は警戒”

ヨーロッパ最大の経済大国ドイツは初めてとなる国家安全保障戦略を公表し、ウクライナ侵攻を続けるロシアを最大の脅威と位置づけて国防費を増加させるとともに、中国について「われわれの利益や価値観と矛盾する行動を続けている」として過度に依存するリスクを減らす方針を示しました。

ドイツのショルツ首相らは14日に記者会見し、初めての国家安全保障戦略を公表しました。

戦略ではエネルギーの輸入などを通じて長年、協力関係を重視してきたロシアをヨーロッパの安全保障の最大の脅威と位置づけ、NATO=北大西洋条約機構の抑止力の強化に貢献するために今後数年間、GDP=国内総生産に占める国防費の支出の割合を平均で2%に引き上げると明記しました。

また、メルケル前政権のもとで経済関係の強化を進めてきた中国について「われわれの利益や価値観と矛盾する行動を続け、経済力を利用して政治的な目標を成し遂げようとしている」と警戒感を示しました。

そして、ロシアへのエネルギー依存を教訓とし、中国を念頭に、希少な資源などを他国に過度に依存するリスクを減らすため、供給網の多様化などに取り組む方針を示しました。ただ、気候変動など世界的な課題への対応では中国はパートナーだとしています。

ショルツ首相は「中国は経済成長を続けていくだろうが、われわれは安全保障の問題にも注意を払わなければならない」と述べ、安全保障も踏まえ中国政策を検討していく考えを示しました。