土星の衛星から放出の水に生命を構成する元素「リン」発見

土星の衛星から宇宙空間に放出された水に、生命を構成する元素「リン」が含まれていることを発見したと、日本やアメリカなどの国際研究グループが発表しました。
研究グループは、地球と同じような生命がほかにも存在する可能性を広げる重要な成果としています。

太陽系で2番目に大きな惑星、土星をまわる直径500キロほどの衛星「エンケラドス」の地下では有機物を含む水が確認されていますが、詳しい成分は分かっていませんでした。

このため、日本やアメリカ、ヨーロッパの国際研究グループが2017年まで実施された土星探査機による観測データをもとに衛星の地下から宇宙空間に放出された水の成分を詳しく調べました。

その結果、DNAや細胞膜などの材料となり地球の生命にとって不可欠の元素「リン」を発見したということです。

衛星の水に含まれる「リン」の濃度は地球の海水と比べて1000倍以上とみられ、水と岩石との間で化学反応が起きたことで鉱物に含まれる「リン」が水に大量に溶け出たと考えられるということです。

こうした化学反応は、太陽系では土星より外側の別の天体でも起きるとされ、研究グループは宇宙には地球と同じような生命がほかにも存在する可能性を広げる重要な成果としています。

東京工業大学の関根康人教授は「太陽系の外側の天体にはリンや窒素に富んだ環境が普遍的にあり、『人類のきょうだい』とも言える物質的に似た生命がいるかもしれない」と話していました。