世界の難民や避難民 推定で最多の約1億1000万人に 国連

世界各地の紛争や迫害などによって住まいを追われた人は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻などの影響もあり、先月までの推定でこれまでで最も多いおよそ1億1000万人に上ると、国連が明らかにしました。

これはUNHCR=国連難民高等弁務官事務所が、今月20日の「世界難民の日」を前に、最新の報告書の中で明らかにしたものです。

報告書によりますと、去年末の時点で世界各地の紛争や迫害などによって国外に逃れた難民や国内避難民は、前の年より1910万人増え、1億840万人に上りました。

具体的には、10年以上内戦が続く中東シリアから654万人、ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナからは567万人、おととしイスラム主義勢力タリバンが政権を掌握したアフガニスタンなどからも、多くの人が国外に逃れています。

さらに、ことし4月以降、軍と準軍事組織との武力衝突が続くアフリカのスーダンからも多くの人が逃れているとして、UNHCRは世界全体の難民や避難民が先月までにこれまでで最も多い1億1000万人に上ると推定しています。

一方で報告書は、難民などを受け入れる負担が近隣の途上国など一部の国に偏っているとして、より公平な負担が必要だとしています。

グランディ難民高等弁務官は「難民が自発的かつ安全に、尊厳を持って帰還できるためには、紛争を終わらせ障害を取り除くよう、さらに多くのことに取り組まなければならない」と述べ、国際社会に協力を呼びかけました。