ウクライナ “7集落奪還 バフムト周辺で前進” 反転攻勢本格化

ウクライナ国防省は、東部や南部で合わせて7つの集落を奪還したと発表したほか、東部のバフムト周辺でも前進していると主張し、反転攻勢を本格化させています。
一方、ロシア軍の巡航ミサイル1発がウクライナ東部の集合住宅に着弾し、6人が死亡したということです。

ウクライナ国防省のマリャル次官は12日、これまでにドネツク州西部のマカリウカやザポリージャ州東部のノボダリウカなど7つの集落を奪還し、解放した領土は90平方キロメートルに上るとSNSで明らかにしました。

また、ドネツク州の拠点で先月、ロシア側が掌握を主張したバフムトの周辺でもウクライナ軍の部隊が前進を続け、一部で領土を奪還したとしていて、ゼレンスキー大統領は12日、「われわれの兵士は成果をあげている」と自信を示しました。

一方で、ロシア国防省は各地でウクライナ軍を撃退したと主張しています。

マカリウカでは攻防が続いているとロシア側では伝えられています。

また、ロシア軍は14発の巡航ミサイルなどで攻撃を仕掛け、このうち1発が、ゼレンスキー大統領の出身地でもあるウクライナ東部のクリビーリフにある集合住宅に着弾したとウクライナ空軍が13日、発表しました。

ウクライナの検察当局によりますと、これまでに6人が死亡、25人がけがをしたということです。

ウクライナ東部 集合住宅にミサイル攻撃 3人死亡

ウクライナ東部ドニプロペトロウシク州の知事は、クリビーリフにある5階建ての集合住宅がロシア軍によるミサイル攻撃を受け、少なくとも住民3人が死亡し、多数のけが人が出ていると13日、SNSで明らかにしました。
ゼレンスキー大統領は13日、自身のSNSで「救助活動は続いている。テロリストは決して許されることはなく、発射するすべてのミサイルに対する責任を負うことになるだろう」と厳しく非難しました。

ゼレンスキー大統領がSNSに投稿した動画では、集合住宅の表面が黒く焦げて焼け落ち、複数の部屋で炎が上がっているほか、周辺の車両も大きく壊れているのが確認できます。

専門家「ウクライナ軍 狙いは主に南部か」

防衛省防衛研究所の山添博史 米欧ロシア研究室長は、反転攻勢を本格化させるウクライナ軍の動きについて、「ウクライナは、東部と南部の合わせて4方面での作戦があると見られるが、ねらいは主に南部にあると考えられる。アゾフ海の海岸沿いまで部隊を進めることができれば、ロシア軍の補給を断つことができ、ロシア軍がその西側を維持することが難しくなる」と分析しています。
このうち、南部ザポリージャ州のロシアが占拠する交通の要衝、トクマクの方面では、ロシア軍が複数の防衛線を準備しているため、今後戦闘が激しくなり、双方に大きな損失が出るおそれもあると、指摘しています。

一方、ウクライナ軍の東部での作戦について、ロシア軍に東部にも一定の部隊を配備させることで、戦力を分散させるねらいがあるとしています。

そのうえで、「東部での焦点はドネツク州西部のマカリウカで集落の奪還が伝えられているのもこのあたりだ。そこからさらに南下すると主要都市マリウポリに至るが、そこではロシアの防衛線は手薄で、そこまで部隊を進められればザポリージャ州の主要都市メリトポリを挟み撃ちできる」と述べました。

今回の反転攻勢でウクライナが目標とする成果は、雨で地面がぬかるみ、部隊を進めるのが難しくなる前、10月ごろまでに主要な都市を奪還することで、軍事支援の成果を示し、国際社会から継続して支援を受けるねらいがあると分析しています。