【全選手紹介】なでしこジャパン 23人の経歴・特徴は?

7月からオーストラリアとニュージーランドで始まるサッカー女子のワールドカップに臨む日本代表「なでしこジャパン」のメンバー23人、全選手を詳しく紹介します。

池田太監督はゴールキーパー以外のポジションについては、すべて『フィールドプレーヤー』として詳しく言及しませんでしたが、これまでの強化試合のメンバー選考などをもとに、選手をポジションごとに紹介しています。
(※年齢・出場記録は2023年6月13日時点)

山下杏也加(やました・あやか)

ゴールキーパーの山下杏也加選手は、東京都出身の27歳。INAC神戸レオネッサに所属しています。ワールドカップは、前回のフランス大会に続いて2大会連続のメンバー入りです。身長1メートル70センチで、高校1年生のときにフォワードからゴールキーパーに転向したため足元の技術も高く、身体能力の高さと正確なキックで素早く攻撃につなげるプレーを得意としています。WEリーグでは昨シーズン、初代MVPに選ばれました。日本代表として、これまで58試合に出場していて、前回のワールドカップフランス大会では正ゴールキーパーとして日本のすべての試合にフル出場しました。今回のワールドカップでも守りの要としての活躍が期待されます。

平尾知佳(ひらお・ちか)

ゴールキーパーの平尾知佳選手は千葉県出身の26歳。アルビレックス新潟に所属しています。ワールドカップは、前回のフランス大会に続いて2回連続のメンバー入りです。日本サッカー協会がエリート選手育成のために設けた「JFAアカデミー福島」出身で、2016年の20歳以下のワールドカップでは3位に入りました。身長1メートル73センチで安定感のあるキャッチに定評があり、足もとの技術にも優れた万能型のゴールキーパーです。

田中桃子(たなか・ももこ)

ゴールキーパーの田中桃子選手は長野県出身の23歳。日テレ・東京ヴェルディベレーザに所属しています。2016年に行われた17歳以下のワールドカップで準優勝を経験していて、年齢制限のないチームで争うワールドカップは初めてのメンバー入りです。クロスボールへの飛び出しやシュートへの反応の速さが光り、おととし11月のオランダとの強化試合で日本代表デビューを果たし、これまで5試合に出場しています。

熊谷紗希(くまがい・さき)

ディフェンダーの熊谷紗希選手は北海道出身の32歳。今シーズンまでドイツ1部リーグのバイエルンミュンヘンでプレーし、来シーズンはイタリア1部リーグのローマでプレーします。ワールドカップは4大会連続4回目のメンバー入りです。20歳で初めて出場した2011年のドイツ大会は、センターバックのレギュラーとして全試合にフル出場し、ペナルティーキック戦となったアメリカとの決勝では優勝を決めるシュートを決めました。身長1メートル73センチの高さに加えて当たり負けしない体の強さが持ち味で、10年以上にわたってヨーロッパの強豪クラブで活躍しています。日本代表としては、これまで135試合に出場し、このうち先発出場は132試合です。2017年からはキャプテンを務め、今大会もチームの中心としての活躍が期待されます。

三宅史織(みやけ・しおり)

ディフェンダーの三宅史織選手は北海道出身の27歳。INAC神戸レオネッサに所属しています。日本サッカー協会がエリート選手を育成するために設けた「JFAアカデミー福島」の出身です。スピードを生かしてピンチになる前に相手の攻撃を防ぐ守備が持ち味で守りから素早く攻撃を組み立てるのが得意です。前回のワールドカップフランス大会はメンバー入りしながらも出場機会はありませんでした。今回は守備の中心としての活躍が期待されます。

清水梨紗(しみず・りさ)

ディフェンダーの清水梨紗選手は兵庫県出身の26歳。去年からイングランドスーパーリーグのウェストハムでプレーしています。試合終盤まで走り続ける豊富な運動量とスタミナが持ち味の右サイドバックで、積極的に前線に上がって攻撃に厚みを持たせることができます。ワールドカップは前回、2019年のフランス大会に続いて2大会連続のメンバー入りで、前回大会は4試合すべてに出場しました。日本代表としては、これまで62試合に出場し、このうち56試合が先発での出場です。世界トップクラスの選手がそろうイングランドのリーグで経験を積んだ清水選手、その成長した姿に注目です。

清家貴子(せいけ・きこ)

ディフェンダーの清家貴子選手は東京都出身の26歳。三菱重工浦和レッズに所属しています。19歳以下の日本代表などで国際大会に出場した経験がありますが、ワールドカップの代表入りは今回が初めてです。抜群のスピードを生かしたドリブル突破が持ち味で、サイドバックなどで起用されています。ことし2月にアメリカで行われた国際大会ではカナダ戦で先発出場し、ゴール前のスペースに走り込んで日本にとって大会初ゴールとなる貴重な先制点を決めました。状況によってはフォワードもこなし得点に絡むことができる万能型の選手で、大舞台で発揮される持ち前の勝負強さに期待がかかります。

守屋都弥(もりや・みやび)

ディフェンダーの守屋都弥選手は奈良県出身の26歳。INAC神戸レオネッサに所属しています。日本サッカー協会がエリート選手育成のために設けた「JFAアカデミー福島」の出身です。ことし4月の強化試合で日本代表の試合に初めて出場し、今回初めてワールドカップの代表メンバー入りを果たしました。WEリーグで見せてきた豊富な運動量と精度の高いクロスボールで、サイドのポジションから攻撃の起点となることが期待されています。

南萌華(みなみ・もえか)

ディフェンダーの南萌華選手は埼玉県出身の24歳。イタリア1部リーグのローマに所属しています。1メートル72センチの体格を生かした空中戦が得意なセンターバックで、相手の動きを予測する能力にもたけています。育成年代のワールドカップに日本代表として出場し、17歳以下と20歳以下の大会ではキャプテンとしてチームをまとめ、優勝の原動力となりました。年齢制限のないワールドカップには前回、2019年のフランス大会に20歳で初めて出場し、去年、移籍したローマでは、主力としてチームのリーグ初優勝に貢献しました。

高橋はな(たかはし・はな)

ディフェンダーの高橋はな選手は埼玉県出身の23歳。三菱重工浦和レッズに所属しています。フォワードでのプレー経験があり、相手の攻撃を読む能力にたけていて、育成年代のワールドカップでは、17歳以下の大会で準優勝、20歳以下の大会で優勝を経験しました。去年11月に日本代表のスペイン遠征中に右ひざの前十字じん帯を損傷する大けがを負いましたが、6月10日のWEリーグ最終節で復帰し、代表メンバーに選ばれました。

石川璃音(いしかわ・りおん)

ディフェンダーの石川璃音選手は秋田県出身の19歳。三菱重工浦和レッズに所属しています。日本サッカー協会がエリート選手育成のために設けた「JFAアカデミー福島」出身のセンターバックで、去年行われた20歳以下のワールドカップでは主力として準優勝を経験しました。池田太監督からは1対1の強さとスピードが評価され、2月の国際大会で年齢制限のない日本代表に初めてメンバー入りしてカナダ戦に途中出場しました。

猶本光(なおもと・ひかる)

ミッドフィルダーの猶本光選手は福岡県出身の29歳。三菱重工浦和レッズに所属しています。10代のころから年代別の日本代表で国際大会を経験してきた攻撃的ミッドフィルダーで、ワールドカップの代表メンバーに選ばれたのは今回が初めてです。2018年から2シーズンにわたってドイツ1部リーグフライブルクでプレーしたあと、三菱重工浦和レッズに復帰し、今シーズンチームのWEリーグ初優勝に貢献しました。状況判断にすぐれ、持ち味の正確なパスを生かした攻撃の起点としての役割が期待されます。

長谷川唯(はせがわ・ゆい)

ミッドフィルダーの長谷川唯選手は宮城県出身の26歳。イングランドスーパーリーグのマンチェスターシティーに所属しています。足元の技術に優れ、スピードのあるドリブルと正確なパスで攻撃を組み立てる司令塔です。豊富な運動量を生かしてボランチでもプレーすることができ、中盤の選手としての総合力の高さに定評があります。育成年代のワールドカップでは2014年に行われた17歳以下の大会で優勝、2016年の20歳以下の大会では3位になりました。年齢制限のない日本代表では66試合に出場し、16得点をあげています。今大会も日本の司令塔としての活躍が期待されます。

杉田妃和(すぎた・ひな)

ミッドフィルダーの杉田妃和選手は、北九州市出身の26歳。アメリカリーグのポートランドソーンズに所属しています。中盤のどのポジションもこなすことができ、正確なパスとともに意外性のある仕掛けが得意です。相手のボールを奪ってからの攻撃への展開が期待されます。育成年代のワールドカップでは2014年の17歳以下の大会で優勝、2016年の20歳以下の大会で3位の経験があり、それぞれの大会で最優秀選手に選ばれました。日本代表では38試合に出場していて、前回2019年のワールドカップフランス大会では日本のすべての試合にフル出場しました。今回、自身2回目となるワールドカップでも活躍が期待されます。

林穂之香(はやし・ほのか)

ミッドフィルダーの林穂之香選手は京都府出身の25歳。イングランドスーパーリーグのウェストハムに所属しています。1メートル57センチと小柄ながら正確なボールタッチに定評があり、守備力の高さが持ち味のボランチです。高い戦術眼を持ち、相手の動きを予測する判断力に優れています。ワールドカップの日本代表に選ばれるのは初めてですが、育成年代の代表では2016年に行われた20歳以下のワールドカップで3位になったときのメンバーで、2018年の大会ではハードワークで日本の初優勝に貢献しました。おととしの東京オリンピックにも出場し、国際大会の経験を積んでいます。

長野風花(ながの・ふうか)

ミッドフィルダーの長野風花選手は東京都出身の24歳。イングランドスーパーリーグのリバプールに所属しています。すぐれたボールキープ力に加え的確な状況判断から繰り出される巧みなパスが持ち味です。広い視野で相手の隙を見つけ、1本のパスでチャンスを生み出します。10代のころから育成年代の代表に選ばれ、17歳以下と20歳以下のワールドカップでは日本代表として優勝を経験。「次世代のエース候補」として期待されてきました。年齢制限のない日本代表でワールドカップのメンバー入りするのは今回が初めてで、イングランドスーパーリーグで経験を積んだプレーに注目です。

宮澤ひなた(みやざわ・ひなた)

ミッドフィルダーの宮澤ひなた選手は、神奈川県出身の23歳。マイナビ仙台に所属しています。スピードを生かしたドリブルが持ち味で、ピッチを縦横無尽に動き回ります。育成年代のワールドカップに2回出場し、2018年20歳以下の大会で日本の初優勝を経験しました。年齢制限のないワールドカップに出場するのは今回が初めてで、スピードを生かして日本の攻撃にアクセントを加えることが期待されます。

遠藤純(えんどう・じゅん)

ミッドフィルダーの遠藤純選手は福島県出身の23歳。アメリカリーグのエンジェルシティーに所属しています。チームにとって貴重な左利きの選手で、スピードにのったドリブルで攻め込む形を得意としています。前回のワールドカップフランス大会はチーム最年少の19歳でメンバー入りし、3試合に出場しました。ことし2月にアメリカで行われた国際大会「シービリーブスカップ」では、東京オリンピック金メダルのカナダを相手に、3点目のゴールを決めるなど強豪を相手に持ち味を発揮していました。

藤野あおば(ふじの・あおば)

ミッドフィルダーの藤野あおば選手は東京都出身の19歳。日テレ・東京ヴェルディベレーザに所属しています。スピードに乗ったドリブルが持ち味で、去年行われた20歳以下のワールドカップではエースナンバーの背番号「10」を付けて6試合すべてに出場し、準優勝の原動力となりました。年齢制限のない日本代表には去年10月の強化試合のメンバーに初めて選ばれ、これまで9試合に出場しています。

田中美南(たなか・みな)

フォワードの田中美南選手はタイ出身、川崎市育ちの29歳。INAC神戸レオネッサに所属しています。鋭く相手をかわし、背後へ飛び出す動きを得意としています。WEリーグの前身となる「なでしこリーグ」では、2019年まで4年連続で得点王に輝きましたが、前回のワールドカップフランス大会ではメンバー入りを逃しました。4月のポルトガルとの強化試合では勝ち越しのゴールを決めていて、これまで日本代表として64試合に出場し、28得点をあげています。今シーズン、WEリーグで得点ランキング3位に並ぶ11ゴールをマークし、今回、メンバー入りを果たしました。

千葉玲海菜(ちば・れみな)

千葉玲海菜選手は福島県出身の24歳。ジェフ千葉に所属しています。スピードとフィジカルの強さを生かした突破力が光るフォワードです。静岡の藤枝順心高校では3年生のときにキャプテンとして全日本高校選手権で優勝を果たしました。その後、筑波大学を経てジェフ千葉でプレーしています。去年6月のセルビアとの強化試合で日本代表として初めて出場し、代表初ゴールを挙げました。日本代表で通算4試合に出場し、2得点を挙げています。

植木理子(うえき・りこ)

フォワードの植木理子選手は神奈川県出身の23歳。日テレ・東京ヴェルディベレーザに所属しています。スピードを生かしたドリブルに加え、巧みなボールタッチで相手をかわすプレーが持ち味のストライカーです。WEリーグでは、今シーズン14ゴールを決め、得点王に輝きました。育成年代の日本代表として2018年の20歳以下のワールドカップでチームトップに並ぶ5得点をマークし、日本の初優勝に貢献しました。前回のフランス大会では代表メンバー入りを果たしましたが、右ひざのけがのため大会直前に離脱しました。今大会は4年前の悔しさを晴らす舞台となります。

浜野まいか(はまの・まいか)

フォワードの浜野まいか選手は大阪府出身の19歳。スウェーデンリーグのハンマルビーに所属しています。運動量が豊富で、相手の特徴を捉えた駆け引きを得意としています。ディフェンスの背後に抜け出すプレーなどが持ち味です。去年、日本が準優勝した20歳以下のワールドカップでは4得点と活躍し、大会の最優秀選手に選ばれました。年齢制限のない日本代表には去年10月、ナイジェリアとの強化試合で初めてメンバー入りし、4試合に出場しています。

池田太(いけだ・ふとし)監督

池田太監督は東京都出身の52歳。現役時代はディフェンダーで、埼玉の武南高校から青山学院大を経てJリーグが開幕した1993年に浦和レッズに入団しました。1996年に現役を引退して指導者の道に進み、レッズの育成組織の監督など男子チームでの指導を経験したあと、2011年に日本代表などの監督になるために必要なライセンスを取得しました。2017年に19歳以下の女子の日本代表の監督に就任し、2018年に行われた20歳以下のワールドカップで日本を初優勝に導きました。そして、東京オリンピックのあとに「なでしこジャパン」の監督に就任。積極的に前線からプレスをかけてボールを奪い、素早く攻めるサッカーをコンセプトにワールドカップに向けてチームを作り上げてきました。実直で気さくな人柄で自分自身がコミュニケーションの見本になることをモットーとし、日本代表でもキャリアや年齢に関わらず、だれでも発言できる雰囲気づくりを進めて選手の個性を生かしたチームを目指しています。

【選手歴】
武南高校→青山学院大→浦和レッズ

【指導者歴】
▽1997年~1999年浦和レッズユースコーチ
▽2000年~2001年浦和レッズユース監督
▽2001年~2002年浦和レッズユースコーチ
▽2002年~2008年浦和レッズトップチームコーチ
▽2009年~2011年浦和レッズハートフルクラブコーチ
▽2012年~2016年アビスパ福岡コーチ
▽2017年U-19日本女子代表監督
▽2018年U-20日本女子代表監督
▽2019年U-19日本女子代表監督
▽2020年~2022年U-20日本女子代表監督
▽2021年~「なでしこジャパン」監督