観光を「稼げる」産業へ 生産性低さや人材不足が課題 観光白書

ことしの「観光白書」が13日公表され、国内の観光需要は回復に向かっているとする一方、観光産業の生産性の低さや人材不足といった構造的な課題が顕在化しているとして官民一体となって「稼げる」産業へと変革を進める必要があると指摘しました。

政府が13日閣議決定した観光白書によりますと、外国人も含めた去年1年間の国内の旅行消費額は18兆7000億円とコロナ禍前の2019年の67%の水準となり、新型コロナの影響から観光需要は回復に向かっているとしています。

一方で、地域の経済や雇用の担い手となるべき観光産業では、生産性の低さや人材不足といった構造的な課題がいっそう顕在化していると指摘しています。
また、就業者が生み出した1人当たりの付加価値額を2019年のデータで見ると、国内の全産業の806万円に対して、観光関連の産業が491万円などと相対的に低く、欧米の主要国と比較しても低水準だとしています。

このため、官民一体となって観光産業の付加価値をさらに高めて「稼げる」産業へと変革を進め、地域と旅行者の双方が観光のメリットを実感できる「持続可能な観光」を目指すべきだとしています。

具体的には、観光地の「稼ぐ力」をデータで「見える化」するとともに観光産業の従事者の待遇改善も合わせて推進することが必要だとし、政府としても観光産業のDX=デジタル変革などの取り組みを引き続き進めていくとしています。