「中国の核弾頭 推定60発増」スウェーデンの研究機関

世界の軍事情勢を分析するスウェーデンの研究機関は中国が保有する核弾頭が去年より推定で60発増えたとする報告書を公表し、「中国は核戦力を顕著に拡大し始めている」と指摘しました。

スウェーデンのストックホルム国際平和研究所は12日、年次報告書で世界の核弾頭の推定の総数を公表し、ことし1月の時点で1万2512発と、去年より198発減ったという分析を示しました。

しかし、解体予定のものを除いた運用可能な状態にある核弾頭の数は9576発で、去年より86発増えたとしています。

核弾頭の数を最も増やしたとみられるのは中国で、去年より60発増え、410発になったとしています。

報告書では「中国は核戦力を顕著に拡大し始めている。『核戦力の規模は安全保障に必要な最低水準に制限している』とする中国の見解と整合性がとれなくなりつつある」と指摘しました。

さらに北朝鮮が保有する核弾頭も5発増え、30発になったとみられるとしました。

一方、核弾頭の保有数が最も多いのはロシアで5889発、次いでアメリカが5244発で、2か国だけで世界のおよそ9割を占めるとしています。

ことし2月にはロシアがアメリカとの核軍縮条約「新START」の履行停止を一方的に表明していて、研究所は「ウクライナへの軍事侵攻以降、核軍縮外交は大きな挫折に直面している。保有国どうしで誤解が生じたり事故が起きたりするリスクは受け入れがたいほど高まっている」と指摘しています。

中国外務省「国家の安全に必要な最低レベル」

スウェーデンのストックホルム国際平和研究所が中国が保有する核弾頭が去年より推定で60発増えたとする報告書を公表したことについて中国外務省の汪文斌報道官は12日の記者会見で、保有する核弾頭について言及しなかったものの「中国は自衛的な核戦略を堅持しており、核戦力は国家の安全に必要な最低レベルを維持し、いかなる国も対象としていない」と述べ、核政策の正当性を主張しました。

そのうえで「中国は引き続き、正当な安全保障上の利益を守り世界の平和と安定の維持に断固として取り組む」と強調しました。