イタリア ベルルスコーニ元首相が死去 86歳 地元メディア

イタリアのメディアなどによりますと、汚職や脱税など数多くの不正疑惑で何度も捜査の対象になりながら、合わせて9年余りにわたってイタリアの首相を務めたベルルスコーニ氏が12日、入院先の病院で亡くなりました。86歳でした。

イタリア北部のミラノで生まれたシルビオ・ベルルスコーニ氏は実業家として成功し、主要なテレビ局を次々に傘下におさめて「メディア王」と呼ばれたほか、サッカーのイタリア1部リーグの名門ACミランを買収してオーナーを長く務めました。

その後、政界に進出し中道右派勢力を結集させて議会選挙に勝利し、1994年に初めて首相に就任しましたが、実業家時代の不正疑惑が浮上して8か月で政権は倒れました。

その後も汚職などのスキャンダルが後を絶ちませんでしたが、豊富な資金力とメディアを使った巧みな選挙戦略によって、合わせて9年余り首相を務め、在任期間は第2次世界大戦後のイタリアで最も長くなりました。

2013年には脱税事件で有罪判決が確定し、議員資格を剥奪されましたが、5年前の議会選挙では「中道右派連合」を率いたほか、去年9月の議会選挙で第1党になったメローニ首相が率いる「イタリアの同胞」と連立を組むなど、政治活動を続けていました。
ロシアのプーチン大統領と親しいことでも知られ、2015年にはプーチン大統領の案内で、ロシアが一方的に併合したウクライナのクリミアを訪問しました。

地元メディアなどによりますと、ベルルスコーニ氏は今月9日からミラノの病院に入院していましたが、12日午前、亡くなりました。

86歳でした。

イタリア メローニ首相「イタリアの歴史上 最も影響力ある人物」

イタリアのベルルスコーニ元首相が死去したことを受けて、イタリアのメローニ首相は12日、ビデオメッセージを出しました。

この中でメローニ首相は「ベルルスコーニ氏は、誰よりも闘志にあふれた人物だった。彼は、自分の信念を守ることを恐れない人で、その勇気と決意が彼をイタリアの歴史において最も影響力のある人物の1人にし、政治、メディア、ビジネスの世界で真の躍進を遂げることを可能にした」と述べ、その死を悼みました。

ロシア プーチン大統領「大切な人であり真の友人だった」

イタリアのベルルスコーニ元首相の死去が報じられたことについて、ロシアのプーチン大統領は12日、記者団に対し「世界的な政治家であり、今はこのような人物はほとんどいなくなってしまった。かつてロシアとNATO=北大西洋条約機構の関係発展のきっかけを作ったのは彼だった」と述べ、その死を悼みました。

またロシア大統領府は、プーチン大統領がイタリアのマッタレッラ大統領に送った弔電の内容を公開しました。

弔電では「真の愛国者であるベルルスコーニ氏は常に祖国の利益を何よりも優先していた。ベルルスコーニ氏はロシアとの友好関係の強化を一貫して支持した人物としてロシアで記憶されるだろう。私にとってもシルビオは大切な人であり真の友人だった」としていて、ウクライナ情勢などをめぐって欧米とロシアの対立が深まる中、ロシアとの関係を重視したベルルスコーニ氏の功績をたたえました。

プーチン大統領とベルルスコーニ氏は個人的に親しい間柄で知られ、ベルルスコーニ氏はウクライナへの軍事侵攻の最中の去年の誕生日にプーチン大統領からウォッカをプレゼントされたことが報じられ、制裁に違反する行為ではないかとの指摘が出ていました。