岸田首相 マイナンバートラブル陳謝 健康保険証廃止に取り組む

岸田総理大臣は、衆議院決算行政監視委員会で、マイナンバーをめぐるトラブルやミスが相次いでいることを陳謝した上で、データやシステムを総点検し、来年秋の健康保険証の廃止に向け、取り組みを進めていく考えを示しました。一方、野党側が要求した河野デジタル大臣の更迭は拒否しました。

国会では12日午前、衆議院決算行政監視委員会で岸田総理大臣が出席して質疑が行われました。

自民党の加藤鮎子氏は脱炭素社会の実現をめぐり「脱炭素に前向きに取り組んでいる地域や、地域とともに取り組む発電事業者に対しては、政府が力強く重点的に支援していくことが重要だ」と述べ、今後の取り組みを問いました。

岸田総理大臣は「国民生活や産業の基盤となるエネルギーを、気候変動問題と両立する形で将来にわたって安定的に供給する体制を構築するべく、水素をはじめとする再生可能エネルギーや火力発電など、あらゆる選択肢を確保していくことが重要だ。さまざまな支援策を進め、全力で取り組みたい」と述べました。

一方、岸田総理大臣は、マイナンバーをめぐるトラブルやミスが相次いでいることについて「マイナンバーカードが、デジタル社会のパスポートとして本格的に機能していくためには、個人情報の保護と国民の信頼確保が前提であり、重く受け止めている。国民に心配をかけていることを申し訳なく思っている」と陳謝しました。
立憲民主党の柚木道義氏は、マイナンバーカードと一体化した健康保険証について「国民皆保険のもとで、必要な時に必要な医療が受けられる体制を堅持するため、システムの緊急総点検と今の健康保険証の存続を強く要望したい」と訴えました。

これに対し、岸田総理大臣は「『データやシステムを総点検しろ』という指摘は当然で、政府として総点検を行うところだが、マイナンバーカードと保険証の一体化のメリットを着実に実現するためにも、医療現場のさまざまな課題を1つ1つ解決し、来年秋の健康保険証の廃止に向けて取り組んでいきたい」と述べました。

ただ、立憲民主党から河野デジタル大臣の更迭を求められたのに対し岸田総理大臣は「河野大臣にはマイナンバーカードの信頼確保などに取り組んでもらっており、引き続き職責を果たしてもらいたい」と拒否しました。

また、岸田総理大臣は、地方公務員の年金などを運営する「地方職員共済組合」で「マイナポータル」を通じて他人の年金情報を閲覧できるトラブルが1件確認されたことについて「詳しい事実関係を調査中だ。年金の支給額に影響することはないと報告を受けているが、速やかに関連するデータの総点検と再発防止策をあわせて公表するよう、関係大臣に指示をした」と述べました。

一方、岸田総理大臣は、核軍縮をめぐり「FMCT=兵器用核物質生産禁止条約の国連総会決議採択から30年にあたることし、わが国の努力の1つとして、9月の国連総会のハイレベルウィークの機会を利用して、関係国と記念行事を開催する方向で調整を行っている。『核兵器のない世界』に向けて、現実的、実践的な取り組みを推進していきたい」と述べました。