【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(11日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる11日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ダム決壊で被害拡大 ウクライナ内務省「29人行方不明」

ウクライナ南部ヘルソン州のカホウカ水力発電所のダムが決壊して大規模な洪水が発生したことによる被害が広がっています。

ウクライナ内務省は10日夜、日本時間11日未明の時点で、ヘルソン州の浸水被害は、ロシア側が支配する地域を含めて46の市や町などに上り、およそ2700人が避難したものの、29人の行方が依然として分かっていないと発表しました。

隣接するミコライウ州でも31の市や町などで浸水の被害が出て、およそ980人が避難したということです。

ウクライナのゼレンスキー大統領は10日に公開した動画で「占領地での救助活動は一部の地域にかぎられている。ロシアの砲撃は避難所でも続いている」と述べ、ロシア側が避難活動を武力で阻んでいると非難しました。

ウクライナ軍「反転攻勢」キーウでは期待と不安さまざまな声

このうち26歳の男性は11日、NHKの取材に対して「われわれは反転攻勢を待ち望んでいました。大事なのは、いつ始まったかよりもわれわれが戦い続けることです。反転攻勢によって戦争が終結に向かうよう願っています」と話していました。

また21歳の女性は「反転攻勢によってウクライナだけでなく、世界が平和になると思う。ロシア軍が撤退し、穏やかな生活を送れることを望みます」と話していました。

16歳の女性は「反転攻勢がうまくいくよう願っています。ただロシア側の攻撃がいっそう激しくなり、自分たちの生活が脅かされないかという不安もあります」と心配そうに 話していました。

ゼレンスキー 反転攻勢成功に自信 ロシア報道官 撃退を強調

ウクライナのゼレンスキー大統領は10日、首都キーウでカナダのトルドー首相と会談したあとの共同記者会見で、ウクライナ軍による反転攻勢の作戦がすでに始まっていると明らかにし、初めて作戦の開始を認めました。

また「前線の司令官らと連絡を取り合っているが、みな楽観的な雰囲気の中にある」と述べ、反転攻勢の成功に自信を示しました。

一方、ロシア国防省のコナシェンコフ報道官は10日「過去24時間、ウクライナ軍は、ドネツク州の南部やザポリージャ州、それに、バフムト近郊で攻撃作戦を実施しようとしたが、失敗が続いている」と述べ、ウクライナ軍の攻撃を撃退していると強調していて、双方の攻防が激しくなっているとみられます。

カナダ首相 ダム決壊に日本円で10億4000万円余りの支援発表

カナダのトルドー首相は10日、事前の予告なくウクライナの首都キーウを訪問し、ゼレンスキー大統領と会談しました。

この中で、トルドー首相はウクライナ南部のダムの決壊について「これはロシアの戦争の直接的な結果であり、何千、何万人もの人々に壊滅的な打撃を与えている」としたうえで、被害の対応として1000万カナダドル、日本円で10億4000万円余りの支援を発表しました。

また、トルドー首相は「カナダはウクライナが必要とするかぎり、どんなことがあっても寄り添い続ける」と述べ、軍事支援のために新たに5億カナダドル、日本円で520億円余りの資金を提供するほか、誘導ミサイルの供与なども発表しました。

ウクライナ南部オデーサで無人機攻撃 迎撃で火災 3人死亡

ウクライナ南部オデーサでは、無人機による攻撃が仕掛けられ、迎撃された無人機の破片がアパートに落下して火災が発生したとウクライナ軍の南部方面司令部が10日、SNSで明らかにしました。

これによって3人が死亡し、子どもを含む20人以上がけがをしたということです。

ウクライナ軍が投稿した現場の映像では、建物の窓が壊れ、室内から炎や煙が上がっている様子が確認できます。

英政府 ダム決壊支援に日本円で約28億円拠出

イギリス政府は、ウクライナ南部のダムの決壊で被害を受けた住民の救助や避難を支援するため、現地で活動しているICRC=赤十字国際委員会やOCHA=国連人道問題調整事務所などの国際機関に対し、合わせて1600万ポンド、日本円でおよそ28億円を拠出すると、10日表明しました。

また、ウクライナの非常事態庁に対しては、救助用のボートや浄水器、排水ポンプ、防水ズボンを供与するということで、来週以降、現地に届く予定だとしています。

イギリスのクレバリー外相は「ダムの決壊による洪水は、ヘルソンの3万2000人以上と周辺地域の何千人もの住民に計り知れない影響を及ぼしている。このひどいできごとに対応するウクライナに、われわれは寄り添い続ける」としています。