「エルニーニョ現象」発生か 今夏の予想気温は変わらず 気象庁

南米・ペルー沖の海面の水温が平年より高い状態となり、気象庁は世界の天候に影響を及ぼす「エルニーニョ現象」が発生しているとみられると発表しました。「エルニーニョ現象」が起きると日本では夏の気温が低い傾向になることが知られていますが、地球温暖化などの影響により、ことしの夏の予想は変わらないとしています。

「エルニーニョ現象」は南米・ペルー沖の赤道付近の太平洋で海面水温が平年より高くなる現象で、世界の天候に影響を及ぼすことが知られています。

気象庁によりますと、この海域の水温がことし3月に平年を0.5度上回り、上昇傾向が続いています。

今後も平年より高い状態が続くと見込まれることから、気象庁は9日、「エルニーニョ現象が発生しているとみられる」と発表しました。

2018年秋から2019年春に観測されて以来で、今後、ことしの秋にかけて続く可能性が高いとしています。

エルニーニョ現象が夏に発生すると、日本付近では気温が低く、特に西日本の日本海側で降水量が多くなる傾向が知られています。

ただ、地球温暖化の影響に加えて、年明けごろまで続いた「ラニーニャ現象」の影響で日本付近は暖かい空気に覆われやすいことなどから、ことしの夏は高温傾向のままで、降水量の見通しも変わらないとしています。

気象庁異常気象情報センターの楳田貴郁所長は「エルニーニョ現象というと冷夏を想像するかもしれないが、高温傾向の見通しは変わっていないので、引き続き熱中症に注意してほしい」としています。