河野デジタル相 “マイナンバー公金口座 本人名義に修正を”

マイナンバーの公金受取口座に家族名義とみられる口座がおよそ13万件確認された問題で河野デジタル大臣は、9日の閣議のあとの会見で本人名義の口座に変更するよう改めて呼びかけました。

マイナンバーとひも付けることで国の給付金などを受け取れる公金受取口座をめぐっては、子どもの親など本人ではない家族名義とみられる口座の登録がおよそ13万件、家族ではない無関係な別の人の口座が登録されるミスが748件確認されています。

河野大臣は、9日の閣議のあとの記者会見で「公金受取口座に本人ではない家族の口座などを登録している場合には、給付の際本人以外に振り込むことができないので給付の遅れにつながる。本人の口座の登録への修正をお願いをしたい」と述べ、本人名義の口座に変更するよう改めて呼びかけました。

デジタル庁は、自治体の窓口で口座の登録などを支援する体制がことし9月末までとなっていることから、窓口への相談などを通じて口座の変更を急いでほしいとしています。

本人名義以外の口座を登録できないようにするシステムの改修は、再来年6月までのマイナンバーに関する改正法の施行にあわせて行われることから、周知の徹底や強化が課題となっています。

神奈川 平塚市は当面の利用停止を決定

マイナンバーの公金受取口座に家族名義とみられる口座がおよそ13万件確認された問題を受けて、口座を活用している自治体の間で当面の利用の停止を決めた自治体があることが分かりました。

市民の不安感に配慮して停止の判断をしたとしています。

マイナンバーの公金受取口座の当面の利用停止を決めたのは、神奈川県平塚市の福祉総務課で、来月以降予定している非課税世帯などを対象にした物価高騰対策の給付金の支給で口座の利用を取りやめたということです。

平塚市では、児童手当の支給を担当しているこども家庭課もありますが、公金受取口座を利用するかどうかは課ごとに判断しているとしています。

福祉総務課では、去年11月に初めて給付金の支給でマイナンバーの公金受取口座を利用し、このときは、住民基本台帳にある申請者の氏名と、マイナンバーにひも付いた公金受取口座の名義が一致していることを1件ずつ確認し、誤った給付が起こらないようチェック体制を整えました。

その結果、誤った給付は無かったということです。

しかし、今回、公金受取口座に家族名義とみられる口座がおよそ13万件確認された問題を受けて、ことし7月以降に支給する給付金については、課の判断として公金受取口座の利用を停止することを決めたということです。

理由については、市民の不安感に配慮して停止の判断をしたとしています。

平塚市の非課税世帯などを対象にした物価高騰対策の給付金は、およそ2万7000世帯に支給され、7月からの給付金の支給も同じ規模が見込まれています。

この給付については従来どおり、対象の世帯に通知書を郵送したうえで、振り込み先の金融機関の口座に変更がないかの確認や、新たに口座を登録する場合は名義や口座番号などを用紙に記入したうえで、返信をしてもらう手続きを取ることにしています。

その内容と住民基本台帳にある申請者の氏名との照合作業を行うことにしています。

平塚市福祉総務課の脇田篤史課長代理は「エラー自体は今までのチェック体制で十分防げると認識していますが、13万人も確認されているという情報があり、市民も非常に不安に思っていると思う。そこに配慮して、効率性以上に安全性を配慮する方針に改めました」と話していました。

平塚市では、給付金などの迅速な支給のほか、職員が手書きの口座情報を入力するといった事務作業の省力化を目的に、一部の部署で公金受取口座を利用してきました。

マイナンバーの公金受取口座を含むデジタル化を進めてきた平塚市デジタル推進課の岡崎肇課長は「起きたことは起きたことで、国には丁寧な説明をいただきたい。どうしても起きてしまう人的なミスをデジタルで補おうというのがデジタル化なので、なるべくミスを防げる仕組みを作ってもらいたいです」と話していました。