入管法改正案 参院本会議で可決・成立
外国人の収容のあり方を見直す入管法の改正案は、参議院本会議で採決が行われ、自民・公明両党や日本維新の会などの賛成多数で可決・成立しました。
政府が重要法案に位置づける出入国管理法などの改正案は、難民申請中は強制送還が停止される規定について、申請を繰り返すことで送還を逃れようとするケースがあるとして、3回目の申請以降は「相当の理由」を示さなければ適用しないことや、退去するまでの間、施設に収容するとしていた原則を改め、入管が認めた「監理人」と呼ばれる支援者らのもとで生活できることなどが盛り込まれています。
また、収容の長期化を可能なかぎり避けるため、収容を続けるべきか3か月ごとに検討する制度が新たに設けられたほか、難民の認定基準を満たさないケースでも、紛争から逃れてきた人などを難民に準じて保護の対象とする新たな制度の創設などが盛り込まれています。
9日の参議院本会議では、改正案の採決に先立って討論が行われ、立憲民主党の石川大我議員が反対の立場から、「人の命や人権がかかっている。法案が成立すれば、迫害を受けた母国に強制的に送還される恐怖におびえ、震えている人たちが身近にいることを知ってほしい」と述べました。
一方、日本維新の会の音喜多政務調査会長は賛成の立場から、「保護すべきを確実に保護し、退去強制手続きを一層適切に行うことは、出入国在留管理上の課題で、法整備は、日本人と外国人が健全に共生する社会を実現するために必要不可欠だ」と述べました。
このあと、採決が行われ、自民・公明両党と日本維新の会、国民民主党などの賛成多数で可決・成立しました。
立憲民主党と共産党、れいわ新選組などは反対しました。
改正案をめぐっては、立憲民主党が、難民認定に関して一部の担当者が極端に多くの審査を行うなど、入管当局による恣意的(しいてき)な運用の実態が明らかになったなどとして、委員会採決を阻止するため、齋藤法務大臣の問責決議案を提出しましたが、否決された経緯があります。
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また、遺族の代理人の指宿昭一弁護士は「国会はスケジュールをこなして中身がどうであろうが多数派による決定をする場所ではないはずなのに、与党が数の力で採決を強行したのは許せません」と話していました。