外国人の「特定技能2号」 農業など11分野に大幅拡大へ

熟練技能を持つ外国人の在留資格で、事実上、無期限に滞在できる「特定技能2号」について、農業や飲食料品製造業など11分野に大幅に拡大する方針が閣議で決まりました。

4年前に始まった、熟練した技能を持つ外国人に与えられる「特定技能2号」の在留資格は、在留期間の更新に上限がなく、事実上、無期限に滞在できるほか配偶者などの帯同も認められていますが、現在は「建設」と「造船関連」の2分野の業種に限られ、資格を持つ人は11人にとどまっています。

世界的に人材獲得競争が激しくなる中、政府はこの在留資格について、今回、「農業」や「飲食料品製造業」など9業種を増やし、あわせて11分野にする方針を9日の閣議で決めました。

閣議の前の関係閣僚会議で、岸田総理大臣は「深刻な人手不足を踏まえ、わが国が魅力ある働き先として選ばれる国となるよう、外国人の受け入れ環境のさらなる整備に取り組んでほしい」と述べました。

「特定技能2号」の拡大をめぐっては自民党内の一部から「事実上の移民政策につながる」などと慎重論も出ていましたが、「人材不足であり、外国人労働者から選ばれる国にならなければという危機感は強い」などとして了承された経緯があります。

「航空分野」で働く男性 “大きなチャンス”

新たに対象の業種に加えられた「航空分野」で働く海外出身の男性は、将来の永住や家族の呼び寄せに大きな期待を寄せています。

成田空港で航空機への荷物の積みおろしなどを行う「グランドハンドリング」の仕事をしている、フィジー出身のアナケレト・タヴァケデさん(21)は、この春、来日しました。

今は、仕事を覚えている最中で、アナケレトさんは「同僚たちがサポートしてくれます。まずは一人前に働けるようになりたい」と話しています。

航空分野の仕事は、現在、在留期間が最大5年で家族の帯同は基本的に認められない「特定技能1号」の対象ですがいずれは妻と2歳の息子も呼び寄せて一緒に暮らしたいと考えています。

航空分野が「2号」の対象に拡大されることについて、アナケレトさんは「私だけでなく日本で働く外国人にとって大きなチャンスだと思います。父親として、息子が成長する姿をそばで見て一緒に育てたいと思っています」と話していました。

外国人の労働問題に詳しい日本国際交流センターの毛受敏浩執行理事は「雇用する企業側には、外国人を一時的な労働力ではなく昇進なども含めてどう育成していくか、これまで以上に対応が求められる」と話しています。