ウクライナのダム決壊 被害広がる 今後犠牲者が増える懸念も

ウクライナ南部でダムが決壊し大規模な洪水が発生したことによる被害が広がっています。ロシアが支配する地域ではあわせて14人が死亡したと伝えられ、今後、犠牲者が増えることも懸念されています。

ウクライナ南部、ヘルソン州にあるカホウカ水力発電所のダムが6日、決壊して大規模な洪水が発生し、OCHA=国連人道問題調整事務所は、ウクライナ政府の情報としておよそ80の町や村で浸水の被害が報告され、影響を受ける住民はおよそ4万人にのぼる可能性があるとしています。

ヘルソン州の知事は8日、東京23区の面積に匹敵する、600平方キロメートルで浸水被害が出ていると明らかにし、そのおよそ7割はロシア側が支配するドニプロ川の南東側の地域だとしています。

このうちダムに隣接するノバ・カホウカの市長はロシアメディアに対して、行方不明になっていた7人のうち5人が死亡したと明らかにしました。

また、同じ南東側にあるオレシキの状況について、ウクライナのメディアは、避難している地元市長の話として、一帯が浸水し、9人の死亡が確認されたと伝えていて、今後、犠牲者が増えることも懸念されています。

ウクライナのゼレンスキー大統領は8日、現地の避難所を訪れ、住民や医療従事者と面会したほか、地元当局の責任者と会議を開き、被害状況や生活支援、それに今後の軍事作戦などについて意見を交わしたということです。

一方、ロシア大統領府は8日、プーチン大統領がロシア側が支配する地域の当局者と電話で協議し、必要な支援を行うよう指示したと発表しました。
こうした中、ロシアのショイグ国防相は声明を発表し、ウクライナ南部ザポリージャ州で8日未明、ウクライナ軍がロシア軍の防衛線の突破を試みたと発表しました。

イギリス国防省は8日「複数の前線で激しい戦闘が続いている。ほとんどの地域でウクライナが主導権を握っている」という見方を示し、ウクライナ軍による反転攻勢の動きが活発になっているとみられます。