テニス全仏オープン混合ダブルス 加藤未唯ペアが初優勝

テニスの四大大会の1つ、全仏オープンの混合ダブルス決勝で、加藤未唯選手とドイツのティム・プッツ選手のペアが、カナダとニュージーランドの選手のペアを破って、四大大会で初めての優勝を果たしました。

加藤選手とドイツのティム・プッツ選手のペアは全仏オープン、大会12日目の8日、混合ダブルスの決勝で、カナダのビアンカ・アンドレスク選手とニュージーランドのマイケル・ビーナス選手のペアと対戦しました。

試合は第1セット、加藤選手のペアが立ち上がりから息の合ったプレーを見せてブレークに成功しましたが、中盤以降、相手ペアの強打に押されて第7ゲームから4ゲームを連取され、4-6で落としました。

第2セットは終盤まで互いのサービスゲームをキープする展開となりましたが、第9ゲームで加藤選手が積極的に前に出てボレーを決めてブレークを奪うと、第10ゲームは得意のネットプレーを連続で決めて、6-4で取り返しました。
第3セットは10ポイント先取のマッチタイブレークで、加藤選手の得意のネットプレーで5ポイントを連取して流れを引き寄せると、最後は相手のショットがネットにかかって、10-6で取りました。

加藤選手のペアは四大大会で初めての優勝を果たしました。
加藤選手は4日、女子ダブルス3回戦で、プレーの合間に相手側のコートに打ったボールがボールガールに直撃して危険な行為と見なされ、ペアは失格となり敗退しました。
全仏オープンの混合ダブルスで日本選手が優勝するのは、1997年の平木理化さん、去年の柴原瑛菜選手に続いて3人目で、2年連続となります。

加藤「温かいことばをかけてくれた選手やコーチに感謝」

試合後、加藤未唯選手はコート上で用意したメモを読み上げながら英語でスピーチし、ペアを組むプッツ選手に「いつも支えて、励ましてくれてありがとう」などと感謝のことばを述べた後、会場から大きな拍手が起こりました。
そして「ここ数日は女子ダブルスの失格で精神的に大変な時期でした。温かいことばをかけてくれた選手やコーチに感謝したい。それがポジティブなエネルギーとなってここに来ることができました」と涙ぐみながら話しました。

また、女子ダブルスでペアを組んだインドネシアのアルディラ・スーチャディ選手に「失格になったことは不運でしたが、ベストを尽くました。いつか一緒に女子ダブルスの決勝に臨みたい」と笑顔で語りました。

さらに、失格となった試合の2人の対戦相手の選手に「いつかどこかでまた一緒にプレーすることを願っていますし、いい試合をしたい」と述べると、再び大きな拍手が起こりました。

加藤未唯 2013年にプロ転向

加藤未唯選手は、京都府出身の28歳。身長1メートル56センチと小柄ながら運動能力の高さを生かし、ダブルスでは前衛でのネットプレーを得意としています。

8歳でテニスを始め、2013年にプロに転向。2017年には穂積絵莉選手とペアを組んで出場した全豪オープンの女子ダブルスで、日本選手どうしのペアとしては初めてベスト4入りを果たしました。

四大大会の混合ダブルスに出場するのは2019年のウィンブルドン選手権以来2回目で、今回の全仏オープンにはドイツのティム・プッツ選手と初めてペアを組んで出場しました。

最新の世界ランキングは、シングルスで410位、ダブルスで31位です。

女子ダブルスの失格をめぐる経緯

騒動の発端となったのは、4日に行われた全仏オープンの女子ダブルス3回戦でした。

第2セットの途中、加藤未唯選手がプレーの合間に打ったボールがボールガールを直撃。大会側はこれを危険な行為とみなし、ペアは失格となって、敗退しました。
試合のあと、加藤選手は、自身のSNSで「ボールガールや応援してくださる皆さんにおわび申し上げます。故意ではありませんでした」などと謝罪のコメントを投稿しました。

試合の翌日、加藤選手は会見で失格になった経緯を説明し、一度は警告を言い渡されたものの、対戦相手が抗議したあとに判定が覆り、失格になったとして「納得がいかない」と心境を明かしました。
そして、失格を不服として四大大会側に提訴したことを明らかにしました。

加藤選手の失格をめぐって、PTPA=プロテニス選手協会は6日、「不当な判定だ。偶然の出来事で、攻撃的なものでなかったことは明らかだ」とする声明を発表しました。

そのうえで「少なくとも賞金とポイントは回復させる必要がある」として、加藤選手を擁護する姿勢を示しています。

このほか、SNS上ではテニス選手などから加藤選手を擁護する声があがる一方、女子ダブルスの対戦相手だったチェコのマリエ・ボスコバ選手と、スペインのサラ・ソリベス トルモ選手のSNSに非難のコメントが相次ぐなど、失格をめぐって波紋が広がっています。